2013 Fiscal Year Annual Research Report
余寿命推定を目的とした既存建築物の構造体コンクリート残存強度評価システムの構築
Project/Area Number |
24760460
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
佐藤 幸恵 東京都市大学, 工学部, 准教授 (70408714)
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Keywords | 構造体コンクリート / 中性化 / コア強度 / 透気性 |
Research Abstract |
本研究では,竣工年の異なる4棟の鉄筋コンクリート造建築物の構造体コンクリートの品質に関する調査を実施し,構造部材,非構造部材,環境条件の違いに応じた劣化状況を評価した.その結果,構築時の施工技術が構造体コンクリートの強度分布特性に大きく影響することを明らかにした.調査した建築物の建築年代は,大正期から昭和40年代半ばまでのものが含まれている.年代による差異は,当時の材料製造技術や施工技術によると考えられ,同一年代で比較した場合,施工方法がポンプ工法かバケット打ち工法かによる違いは平均コア強度,標準偏差に大きな影響を与えることがわかった.部材の環境条件の違いでは,今回の調査においては方角および階数による違いはいずれも顕著ではなく,部材種別では壁の強度が高い傾向があった.これは,モルタル仕上げが施されたためと考えられるが,総合的に判断すると,非構造部材によるサンプリングから構造体コンクリート強度が評価可能であると考えられる.ヤング係数については建築学会NewRC式の適用可能な範囲にあることが確認された.また,モルタル仕上げの躯体保護効果は,仕上モルタルが粗である場合でも塗り厚が20mm以上あると中性化速度係数に大きな影響がなく,モルタル仕上げの既存建築物に関しては,塗り厚を調査することにより躯体保護性が評価可能であると考えられる.トレント法による透気係数と中性化速度係数の関係は,大きくばらつく場合もあり,表層材の品質との関係を評価に組み込む必要があると考えられる. 大正期の建築物調査では,部位別比較として床部材の強度が最も高く,既往の調査報告と類似の結果を得た.これは当時の施工状況から,床部に雨水などの水が溜まり,水中養生に近い初期養生環境にあったためと推測される.また,動弾性係数はコアを十分に吸水させた場合で相関が高く,建築学会で示された関係式の適用が可能と考えられる.
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Research Products
(6 results)