2012 Fiscal Year Research-status Report
業務ビルの設備機器類を含む待機電力量調査および電力量ラベリング手法に関する研究
Project/Area Number |
24760471
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
金 政秀 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任准教授 (90598244)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 待機電力量 |
Research Abstract |
2010年施行の東京都環境確保条例では5年で8%の省エネが義務化された。建築物で電力を消費する設備機器やOA機器類の状態は、通常の「利用」以外に「起動」「待機」に大別される。「待機」時の消費電力は、住宅分野で全体の6%と報告があり、業務ビルでも10%前後と予想する。この待機電力の低減は、執務環境・利便性の質を下げずに節電出来、都条例の対策項目ともなりうる。しかし、ビル用エアコン等の設備機器の待機電力は機器仕様書にも未だ明記はなく、早急に業務ビル用の調査データを整備する必要がある。本研究では、業務ビルの実態調査やメーカーへのアンケート調査を行い、待機電力の体系的把握、及びその電力量ラベリングを目的としている。 平成24年度は、照明設備の個別制御システムが導入されたオフィスにて、システムの定格消費電力量の把握、および個別制御による全体の消費電力量の調査を行った。「待機」電力となるシステムのベース電力として230W消費され、これは照明8灯分であった。実証エリア全体で190灯あり、個別制御により44%節電されたため、個別制御導入による「待機」等の電力量が増加したが、それ以上の節電が図れたため、個別制御システムの有意性を示した。 次に、モデルオフィスビルの”見える化システム”のデータより消費電力量把握、また各コンセント接続機器の型番・個数の目視調査を行った。具体的な待機電力量の割合などの把握については、現在分析中である。また、同ビルに対しての、設備機器メーカーへのアンケート調査案の作成および電力量ラベリング手法のベースを固めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、設備機器の中でも消費電力量の割合が高い照明システムの待機電力量の把握が行えた。近年、照明の個別制御システム導入が増加しつつある。その際に、サーバー等のシステム機器において待機電力が生じることとなり、その評価が精緻に行えた。 研究対象とするモデルオフィスビルとしては、「中小規模」かつ「見える化システムの導入」が済んでいる点が必要である。本条件に合致するオフィスビルの選定および先方への主旨説明などを行い、協力体制の構築が行えた。見える化データを受領し、また調査としては、各コンセント接続機器の型番・個数の目視調査を行えた。具体的な待機電力量の割合などの把握については、現在分析中となった。 平成25年度の実施に向けて、設備機器メーカーへのアンケートと待機電力量ラベリングの準備は完了出来た。 以上より、「おおむね順調に進展している」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究計画を以下に示す。当該年度は、最終年度であるので、全体計画を完遂する。 1-(1)電気消費量の追加計測として、待機電力量の把握の上で変動が推定できていないスイッチ等の通信設備機器把握を行う。1-(2)また、追加計測および見える化システムのデータ1年分となる膨大な消費電力量データから待機電力量を抽出するプログラム開発としてソフトウェア構築を行う。以上より、モデルオフィスビルにおける待機電力量の把握を行う。2)大規模な設備機器メーカーへのアンケート調査およびデータベース化を行う。現行機器のデータのみならず、今後の設備機器についての取り組み状況についても確認する。3)待機電力量のラベリング手法の提示を行う。また、実際にモデルオフィスビルへ電力量ラベリングを行い、執務者や管理者へその効果についてヒアリングや簡易アンケートを行う介入調査を行う。1)~3)により、業務ビルの実態調査やメーカーへのアンケート調査を行うことで、待機電力の体系的把握、及びその電力量ラベリングを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、計測機器の購入を予定していたが、研究の進度に合わせ、来年度行うことになった。 平成25年度は、業務ビルの実態調査やメーカーへのアンケート調査を行う上で、以下の研究費使用を計画している。 1-(1)電気消費量の追加計測として、待機電力量の把握の上で変動が推定できていないスイッチ等の通信設備機器の計測センサー設置工事費を見込む。1-(2)また、追加計測および見える化システムのデータ1年分となる膨大な消費電力量データから待機電力量を抽出するプログラム開発としてソフトウェア構築費を見込む。1-(3)その分析用パソコンの購入費を見込む。2)大規模な設備機器メーカーへのアンケート調査およびデータベース化を行うための費用を見込む。3)待機電力量のラベリング手法の提示及びモデルオフィスビルへの介入調査費用を見込む。
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