2012 Fiscal Year Research-status Report
少数名繰返し評価と訓練に基づくにおい評価に要するパネル数低減化に関する研究
Project/Area Number |
24760475
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
竹村 明久 大同大学, 情報学部, 講師 (70584689)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 臭気 / 主観評価 / 評価訓練 / パネル数 / 臭気強度 / 快・不快度 |
Research Abstract |
におい環境評価で主流である、嗅覚を用いたにおい評価で重要指標とされる非容認率(においの許容の可否評価で、不許容パネル(被験者)数を全パネル数で除した割合)の評価には60名が必要とされる等、必要パネル数が多いことが、現在もにおい環境評価が十分に普及しない一因であると考える。そこで、本研究では、多数パネル評価の少数化を目標とした検討を行う。評価訓練を採用しているISO/DIS 16000-30の公開があったため、当初計画では平成25年度に行う予定であった、評価訓練により見込まれる評価精度向上の検討を平成24年度に前倒しして行った。 実験では、2種の臭気を各5段階の濃度条件に調製した評価試料を、6名のパネルに提示して評価させた。1日3セットの実験を2~7日の間隔で延べ10日間(延べ30セット)繰返したが、各日の2、3セット目の前には、臭気強度評価訓練を行った。その結果、臭気強度平均値に関しては、訓練にも用いた臭気、n-butanolでは、1回訓練を行った以降、訓練に用いた「臭気の濃度と臭気強度評価の関係」に非常に近くなることが確認できた。一方で、訓練試料とは異なる臭気、α-pineneでは、訓練による平均値への影響が不明瞭であったことから、訓練臭気以外の評価への訓練の影響は小さい可能性が示された。すなわち、ISOで採用されている1種の臭気に関する訓練で多種の臭気評価を較正することは妥当でない可能性がある。また、訓練直後の評価と、訓練から2~7日経過後の評価とには差異が見られず、訓練の影響は、最低でも1週間程度は保証されることがわかった。評価の標準偏差に関しては、臭気種や濃度ごとに繰返し回数に伴う傾向は様々だったが、総じて低濃度の評価時の評価のばらつきが大きく、高濃度では非常に小さい傾向が見られた。また、臭気強度評価訓練による、においの快・不快度評価への影響はほぼ見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初平成25年度に行う予定の内容を、平成24年度に前倒しして実験を実施し、新たな知見を得ることができた。一方で、当初平成24年度に予定した内容(平成25年度に実施予定)については未実施であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初平成25年度に実施予定であった内容を平成24年度に実施したことで、臭気強度評価訓練による評価への影響が明らかにできたので、平成25年度は、非訓練パネルによる評価実験を中心に実施し、研究の目的である臭気評価の個人内変動と個人間差の検討を行う。具体的には、複数名パネルに複数回の繰返し実験を課し、その人数と繰返し数をパラメータに、評価の標準偏差を指標とした評価傾向の比較を行う。また、平成24年度の研究結果との比較によって、訓練パネルと非訓練パネルの評価傾向を比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた理由については、平成25年度の内容を前倒しして実施した影響で、平成24年度に予定していた実験実施回数よりも実施済回数が減少し、そのため、各種消耗品類(試料採取袋、注射器類、測定器具類など)の使用数が減少したことが大きい。一方で、平成25年度は、当初平成24年度に実施予定の実験を実施するため、これらの使用数が当初の平成25年度計画より大きく増加する予定であるため、これらに充てる予定である。
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