2012 Fiscal Year Research-status Report
放射状壁面噴流を用いた準置換換気方式の換気効率及び室内熱環境に関する研究
Project/Area Number |
24760476
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小林 知広 立命館大学, 理工学部, 講師 (90580952)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 温度成層 / 衝突噴流 / 置換換気 |
Research Abstract |
本研究は衝突噴流換気方式(Impinging Jet Ventilation、以降、IJV方式)空調の室内熱環境解明を取り扱うものであり、当該年度においては,申請当初の計画に従い、実物大の実験室実験により吹き出し性状測定実験を行った。本測定はI型熱線風速計を用いて平均風速分布、乱流エネルギーを測定し、後に計画されている数値流体解析(以降、CFD解析)の境界条件として用いることを意図したものである。なお、当初計画に加え、従来の置換換気(Displacement Ventilation、以降、DV方式)とIJV方式の吹き出し後の気流性状を定性的に把握するため、気流の可視化実験も実施している。 また、当該年度においては、今後行うCFD解析の精度検証時の真値取得のための室内風速、温度、乱流統計量の分布を測定することも計画しており、本項目においても実物大の実験室実験を行うことで、給気量及び給気温度をパラメータとして変更して上記流体量の分布の測定を行った。なお、本実験項目中の室内温度分布おいては、当初計画に加えてDV方式の分布の測定も行っており、基本的な室内熱負荷条件下でのIJV方式とDV方式の室内温度分布の違いが定量的に把握された。 さらに、当該年度の翌年度に予定されていたCFD解析にも一部着手し、等温場における衝突噴流換気システムのCFD解析手法の検討として、乱流モデルを変更した解析を行うに至った。本解析においては検討を行った乱流モデルの中で解析精度に違いが見られたものの、実験結果と良く一致する結果が得られるまでには至っておらず、今後の展開として格子分割やさらに高次の乱流モデルについての検討を行う所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、室内に高熱負荷が存在する場合に従来のDV方式と比較して換気効率や室内熱環境の観点から有利になり得るIJV方式の評価を目的としていたが、当該年度において実施した実物大の実験室実験では、IJV方式に加えて当初計画には無かったDV方式の評価も行うことができたため、両システムの違いとそれぞれの利点が定性的/定量的に明示されたという意味で当初計画以上の成果が得られたと言える。また、当該年度においては実験室実験のみが計画されていたが、上記の実験からさらに研究を進捗させるため、次年度以降に計画されていたCFD解析に着手することができたということからも本研究は当初計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の展望としては、まずは当初計画に従いCFD解析の精度検証を行い、適切な解析手法を選定を行った上で、CFD解析の利点を生かして給気量・給気温度・吹き出し口は一等の設計条件を変更した解析を数多く実施する。 その中で、DV方式採用時に問題となり得る冷房時の高熱負荷設置時の熱環境や冬期暖房時の温度分布の検討も組み込み、厳しい空調条件下におけるIJV方式の環境改善効果を定量的に把握する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度におけるの当初の研究計画では、研究代表者の所属研究期間(立命館大学)内の実験室を用いた実験を計画しており、そのために必要な実験器具として給気量測定のためのオリフィス流量計を新設するための予算を計上していた。しかし、置換換気実験の実績を有する研究協力者の所属する民間企業の研究所の協力を得ることができ、当該研究所の実験室及び実験器具を使用することができた。これにより当初予定していた流量計及びその他実験機器のための予算が不要となり、未使用額が発生した。 次年度の研究計画は原則としてCFD解析を用いて研究を推進する計画であり、CFDコードのライセンス料が主な使途となり、加えてその成果を関連学会で発表するための国内旅費を予定する。また、2013年4月より研究代表者の所属研究期間が変更になったため、旧所属で使用していたCFDコードライセンスを破棄することになった。このため、研究の継続には新所属機関にて当初計画の予定以上のCFDコードライセンスを導入する必要が生じたが、計画当初に計上されていなかった本費用については、昨年度の未使用額を当てる予定である。
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