2013 Fiscal Year Research-status Report
放射状壁面噴流を用いた準置換換気方式の換気効率及び室内熱環境に関する研究
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24760476
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小林 知広 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90580952)
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Keywords | 置換換気 / 温度成層 / 衝突噴流 / CFD解析 |
Research Abstract |
本研究は衝突噴流換気方式(Impinging Jet Ventilation、以降IJV方式)空調の室内熱環境解明を取り扱うものであり、当該年度 においては申請当初の計画に従い、暖房時の有効性を評価することを目的として置換換気方式(Displacement Ventilation、以降DV方式)とIJV方式において室内環境の比較を行った。当初計画では数値流体力学(以降CFD解析)を用いて数値計算による暖房時の性能評価を目的としていたが、より好ましい実験室実験が可能な状況であったため実験による室内温度分布の評価を実施した。その結果、比較的大きな風量条件においては両者に差はないものの、邸風量条件においてはIJV方式はDV方式より上下温度分布が解消する傾向がみられ、当該方式の有効性と将来性を示すことができた。 また、IJV方式がDV方式と比較して最も有効と考えられる高熱工場等を想定して、大きな熱負荷を有する室内での冷房実験も同様に実験室実験により評価を行い、IJV方式ではDV方式と比較して居住域内が適度に混合されるという結果が得られ、快適性と省エネ性を両立することが可能な新たな空調システムとしての可能性が示されたと言える。 さらに、当初の研究計画に従い、冷房と暖房の両方を対象として吹出気流の詳細な性状を把握することを目的として粒子画像流速計(Particle Image Velocimetry)を用いた面的流速測定を行った。これにより両方式の換気メカニズムの相違点を定量的に評価することができたと同時に、今後CFD解析を用いたケーススタディを実施する際の精度検証用の詳細データを取得することができたと言え、将来的に室内温度分布予測モデルを開発するにあたっての有効な成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では等温場で衝突噴流を用いた実験室実験を実施して、精度検証を行った上でCFD解析によるデータ整備を予定していたが、多くの研究協力者の助力を得て現冷房及び暖房時を対象としたフルスケールでの実験室実験を達成することができた。これは研究期間終了後の研究段階で必要と考えていた項目であったが、当該年度に実施したことで早期に工学的応用性の高い研究成果が得られて関連学会での発表を行うことができたと言う観点から当初計画以上の進展と言える。さらに、等温場だけでなく非等温場でのPIV測定に成功したことも当初計画以上の進展と言え、この点に関しては学術的な貢献性が非常に高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
非等温場の実験室実験に基づく温度分布データが取得できたため,今後の研究の展開として非等温場をCFD解析の精度検証を行い、適切な解析手法の選定を行う。その上でCFD解析によりディフューザー個数、風量、吹出し温度などの重要な設計条件を変更した数値実験を実施する。 その結果を踏まえ、IJV方式における上下方向の温度の乱流拡散係数を同定し、最終的には移流・拡散現象に基づく室内温度分布予測モデルを提案する。
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