2013 Fiscal Year Annual Research Report
理想数値実験による都市内熱環境場に及ぼす河川・緑地・風況の影響評価
Project/Area Number |
24760480
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
馬場 雄也 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, 研究員 (60512861)
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Keywords | 熱環境 |
Research Abstract |
本研究では都市を構成する河川、緑地、風況の影響によって、都市部の熱環境がどのように決定されるのかを、都市および気象の両スケールを対象とした数値シミュレーションを実施することで評価し、明らかにしようと試みた。 まず、河川、緑地、建物の影響を個別に取り出しやすくするために、理想化した都市構造を想定して都市内部の風況を検証するシミュレーションモデルを構築し、検証実験を実施した。都市構造によって風が遮られ熱環境が悪化する効果を、都市構造が大気に及ぼす空気抵抗として考え、この空気抵抗を計測した結果、風向、および河川、樹木が占める体積によって空気抵抗が変化し、主に風向の傾きと都市構造における樹木の占有率によって空気抵抗が増加することを明らかにした。この効果は都市構造によってもたらされる運動量の減少、それによって生じる圧力損失、および都市構成要素の投影面積率を用いることで間接的にモデル化することができる。この知見をもとに気象スケールのシミュレーションモデルに用いることができる、都市構造の変化を考慮した簡易的な空気抵抗モデルを導出した。 都市構造の変化が気象スケールへ及ぼす影響を検証するために、ヒートアイランド現象への影響検証を踏まえて、関東全域を対象とした気象シミュレーションモデル(領域気候モデル)を妥当性を検証した上で構築した。気象シミュレーションモデルのモデル要素のうち、都市の影響を考慮する都市キャノピーモデルに都市スケールの理想実験で得られた空気抵抗モデルを導入し、風向の影響と都市構造による空気抵抗の変化によって都市部での気温がどのように変化するかを評価した。評価の結果、気象条件によらず、都市部では都市構造によって空気抵抗が増加することから風速が減少し、直接都市部ではなく、内陸部において気温が上昇する傾向が明らかになった。
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Research Products
(5 results)