2012 Fiscal Year Research-status Report
物理・心理・生理指標を用いた“空気の質のよさ”意識構造の解明
Project/Area Number |
24760481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
花里 真道 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (00608656)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 建築設計 / 建築計画 / 空間認知 / 意識構造 / 健康アセスメント |
Research Abstract |
本研究では“空気の質のよさ”がどのように評価されているか,という点に着目する.実住宅での環境物理量を測定し被験者実験より体感・心理量と生理データを得る.これらデータの統計解析を通じ“空気の質のよさ”意識構造を明らかにすることを目的とするものである.研究初年度となる平成24年度について以下の項目を実施した. <環境物理量の測定>対象室の化学物質濃度,換気量,各部の大きさを測定し,調査対象室の環境物理量を明らかにした.<心理量の測定>実空間体験後,被験者8名による評価グリッド法により“空気の質のよさ”に関する評価概念を試験的に抽出した.結果,開口部が大きいほど空気の質が高いと評価された.これは換気量の多さとの相関が想定しうる.<生理データの取得>生理指標の予備的測定実験として,被験者に,異なる実験室にて加速度脈波を測定し,自立神経機能などの生理データを計測し,併せてSD法による心理評価を得た.結果,生理反応と心理評価間に関係が見受けられた. 今年度の研究遂行による成果について,対象室の環境物理量については,今夏開催される国際曝露学会(ISES:International Society of Exposure Science International 2013, August 19-23, 2013; Basel, Switzerland)において発表する予定であり,生理指標の予備的測定実験については今夏開催される2013年度日本建築学会大会(北海道)学術講演会において発表する予定である. 現在,研究中間年度として上記の3指標相互のプレ解析を進めている.また,実住宅を用いた本実験の準備を開始しており,実施後,データ解析を進め“空気の質のよさ”意識構造を明らかにする予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は<①環境物理量の測定>,<②心理量の測定>,<③生理データの取得>の3つの骨子からなり,平成24年度についてはいずれもプレ実験を遂行でき,特に①については対象室の詳細を確認することができた.研究方法の妥当性が得られ,今夏開催される国際学術集会への発表を予定するまでに至ったことから“おおむね順調”と評価した.3指標相互のプレ解析をすすめ,“空気の質のよさ”意識構造について鋭意究明を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究遂行の中間年度を迎え、研究目的の骨子の一つである<③生理データの取得>について,さらにその検証を進めることが課題といえる.これまでに,環境物理量と心理量に関するデータや知見は蓄積されてきているが,生理データについては,環境物理量の違いに起因する変化であるのか,バイオリズム的変化であるのか,個人差や生活習慣,測定のタイミングなど,多様な要素が関連している.有用な生理データを得るためには,環境物理量の設定が非常に重要であり,この点についてより深い検証が必要であると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として成果発表のための国内旅費及び外国旅費,資料整理や論文校閲などの研究推進に使用する予定である.そのほか研究遂行必要経費として,交通費,印刷費,消耗品費などに使用する予定である.未使用額が生じた理由は、研究プロトコルの精査により、測機器の物品購入の必要性が無くなったことと、研究代表者自らがデータ整理を実施したため、謝金が発生しなかったことなどである.
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