2013 Fiscal Year Research-status Report
街並み景観における関係性をデザインする創造的ルールの探求
Project/Area Number |
24760489
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
守山 基樹 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70534303)
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Keywords | 街並み景観 / 関係性のデザイン / データベース / デザインルール / 形態 / 意味 |
Research Abstract |
本研究の目的は、京都の伝統的街並み、歴史的都心部の街並みを対象として、関係性のデザインとしての街並みのデザイン原理を明らかにすることである。当該年度は、前年度までに構築してきた街並み景観のデータベースを発展、活用し、諸要素の集合からなる関係性のデザインとしての街並みを形成するために、街並み形成の指針となるような「創造的ルール」を探求した。 (1)街区・通りレベルの固有のデザインルール 街区や通りを単位として、街並みを記述したデータベースを活用することによって、街区・通りレベルの固有の街並みのデザインルールを探求した。構築した街並みの分析アプリケーションには、記述した街並みの情報に基づいて、個々の住居のタイプや、街並みに現れる建築的記号のレパートリーを抽出する機能を実装しており、この機能を活用して、歴史のなかで育まれてきた固有のデザインのパターンとその背後にある意味との関係を解読した。 (2)敷地を超えた相互関係としてのデザインルール 個別の敷地を超えて、建築相互の関係や、建築と道・樹木・オープンスペースなどの景観構成要素との関係をデザインするためのルールを探求した。我が国では法制度上、原則として所有する敷地内では法律の範囲内での自由な建築行為が認められており、敷地を超えた個別要素間の関係を規定する原理がない。そこで本研究では、街並み景観のデータベースにおいて、構成要素間の関係性から街並み景観を把握する機能を実装し、相互関係としてのルールとしてどのようなものが可能かを探求した。具体的には、京都の歴史的街区を対象として、緑地の連担、敷地境界の取り扱い、公的・私的空間の領域性といった街並み単位で景観を捉える空間概念に着目したうえで、将来に向けたデザインルールの提案を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
格子に代表される街並み構成要素の細部の情報までをデータベース化し、構成要素の分布状態の分析を通じて、街区や通りレベルでの街並みのデザインルールを探求するためのツールと方法論を構築することができた。さらに、個別の敷地を超えた街区・通りレベルで可能なデザインルールを、京都の具体的な街区を対象として提案することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、街並み景観のシミュレーションシステムの開発とより具体的な街並みデザインのヴィジョンの提案に向けて研究を推進する。本研究で構築するデザインシステムを活用した取り組みによって、街並み形成について繰り返し議論し、デザインを実践する場を持ち続けることが肝要である。本研究では、3次元CG、VRシステムを援用することにより、他主体による街並み景観のシミュレーションシステムを開発し、実際のまちづくりの現場でヴィジョンの提案を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の研究では、街並みのデータベースの構築において主にプログラミング言語のAllegro Common Lispを使用し、3次元モデリングやバーチャルリアリティの構築のためのソフトを使用しなかったため、次年度使用額が生じることになった。 地域の景観資源の発見・記述、さらに、建築相互の関係や、建築と樹木・オープンスペース・道、といった種々の景観構成要素間の関係をデザインするシステムの構築のために、3D都市景観モデリングソフトウェアのCity Engine、地理情報システムのArcGIS、CAD・CGソフトのAutoCAD・3ds-maxの導入を計画している。また、設備備品としてデータ解析、研究協力者によるデータ作成のためのPCを購入し、消耗品として、データベース保存用の記録媒体と、街並みの現地調査で使用する文具や記録媒体の購入を計画している。さらに、国内外での学会における成果発表のための旅費を使用する。
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