2012 Fiscal Year Research-status Report
自閉症児者の障害特性に配慮した住環境整備に関する研究
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24760491
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松原 茂樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10399248)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自閉症 / 住環境 |
Research Abstract |
自閉症児者が住宅で行う不適応行動・感覚調整障害ならびに日中の過ごし方について自閉症児者等を抱える家族に対しアンケート調査を行った.大阪で活動するNPO団体を中心に協力を依頼した.584部アンケートを配布し,203部(有効回答数200部)の回答を得た.また,積極的に自閉症児者の住環境整備を行っている家庭の親16名に訪問インタビュー調査を行った. アンケート調査より,①自閉症児者に必要な分量の予定表を表示する割合が65.5%である.②必要な情報を分かりやすく視覚化する工夫は23件である,③人との関わりが苦手であることや環境からの刺激を調整するため専用の個室を与えている家庭の割合が約64%,④苦手な音などの周囲からの刺激に対して,事前に伝えたり,当事者の前で話をしないなどの工夫をしているが建築的な解決策を行っていない.⑤興奮を落ち着かせる場所を作っている家庭の割合が約69%などの結果であった.インタビュー調査より①トランジションエリアをリビングに設ける家庭が12件である.②情報量は当事者の理解に応じて工夫していること,②個室を設けている家庭が16件などの結果であった. 調査の結果,下記のことに配慮することが明らかになった.①見通しが立つようにスケジュール表を設置する.②情報量は必要最低限にする(必要なものは視覚化,不必要なものは隠す).③共有ではなく専用の空間を確保する.④興奮時に逃げられる暗く静かな空間を確保する.これらの配慮以外にも自閉症児者を抱える家族が住宅を選ぶ際,立地や住宅の性能に関する情報を提供する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初アンケート調査は300部以上を計画していたが,大阪府下のNPOや社会福祉法人11団体から200部の回答となった.インタビュー調査は10名程度を計画していたが16名の協力者を得られた.アンケート調査では,部数は予定より少なかったがある程度統計的なデータを得ることができた.インタビュー調査では当初の予定以上に協力者が得られ,さまざまな工夫点や問題点を具体的に得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は自閉症児者等の家族に対しアンケートと訪問インタビューを行い,主に住宅で過ごす自閉症児者等の住環境の現状を把握した.平成25年度は当初の計画通り,いくつもの先進的な知的障害児者入所施設を視察し,インタビュー調査や平面を実測し設えなどを把握する建物実測調査を行う.これらの調査により自閉症児者の住環境整備で必要な工夫や問題点を整理する.そこで得られた結果を元に,平成26年度に再び住宅で過ごす自閉症児者等の住環境整備に関する調査として,当事者や家族にインタビューを行い,住環境整備のあり方について提案を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが,研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め,当初予定通りの計画を進めていく. 知的障害児者入所施設の視察調査(インタビュー・平面実測等)を行うため,旅費(10施設程度),訪問施設への謝金,建物状況を記録・保存するためのデジタルカメラ,ICレコーダー,また社会動向や研究動向を広く把握するため図書・資料を購入する予定である.
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