2014 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児者の障害特性に配慮した住環境整備に関する研究
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24760491
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松原 茂樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10399248)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自閉症 / 住環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症に配慮した先進的な取り組みをしているグループホームでインタビュー調査や行動観察調査等を行った.これらの調査を通じて明らかになったことを以下にまとめる.1)障害支援区分6の居住者でも物理的・時間的に構造化された環境のなか支援を受けることで安定した生活を送ることができること.2)聴覚過敏など感覚調整障害が強い居住者は最小限のグループ人数で居住し限られた人としか関わらない配慮をしていること.3)防音材,ペアガラス,二重扉や前室など防音対策を施しても効果がある居住者と効果がない居住者がいること.4)視覚や聴覚の過敏の障害特性に配慮して空間を分散し、かつ面積を広くすることで他入居者とのトラブルを防ぐことができること.5)他者との動線ができるかぎり重ならないよう計画することでトラブルを防げること.6)共有空間では各居住者は特定の場所しか利用しないこと. これまでの調査を踏まえて,自閉症児者の住環境整備で配慮する点を記す. 1)トランジションエリア(見通しが立つスケジュールの掲示等)を個室やリビングに設置する.2)ある場所で行動をするとき必要とされる刺激物は最低限にし,必要なものは視覚的に示し不必要なものは別室や収納に隠す.3)共有ではなく専用の空間をできるかぎり確保し,それができない場合はその人だけの特定の場所を設ける.4)心を落ち着かせる(カームダウン)場所を確保すること.5)共有空間では人・場所・行動を1対1対1対応にする,6)個室でも場所と行動を1対1対応が必要な場合があること.7)個室への動線はできるかぎり他者と共有する動線を短くすること.8)聴覚過敏に対して自閉症児者が過ごす場所(特に個室)は苦手な音の発生源から離し,特に個室では防音材や共有空間と離すといった防音対策を施すことが望ましいが,無理な場合は時間的な配慮や事前の連絡で対応すること.
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