2013 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者の地域での居住継続を可能とする在宅復帰型老人保健施設に関する研究
Project/Area Number |
24760498
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
鈴木 健二 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (30363609)
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Keywords | 老人保健施設 / 在宅復帰 / 要介護高齢者 |
Research Abstract |
本研究では在宅復帰を重視した運営を継続的に行っている老人保健施設を対象に調査を実施し、近年の運営状況と現在に至るまでの運営の変遷について考察した。その概要は以下の通りである。 高い在宅復帰率が保たれている背景には、在宅復帰を前提とした中期入所・短期入所を核に通所リハ等の在宅サービスを組合せて提供する事で家族の介護負担を軽減させる在宅支援の取組みが重要な要因となっていた。また中期入所・短期入所が増加して利用者の入替りが多くなるとベッド稼働率の低下が懸念されるが、中期入所・短期入所を定期的に利用してもらう事で高いベッド稼働率が維持されていた。 老健I においても全ての高齢者が在宅復帰できている訳ではなく、入所ベッドの約2/3 は在宅復帰を意図した利用だったが約1/3 は長期入所の利用であった。また在宅復帰できずに長期入所へと至る要因としては、要介護度の軽重や同居家族の有無よりも、実際の介護負担の程度と、高齢者本人と家族との人間関係の2点が挙げられた。 老健の特徴の1つであり、加算面でも高く評価されている個別リハに関しては、老健I でも当初はリハ職員数も少なく、実施場所も通所リハと共用する等、人員面・施設面共に限られた実施体制であった。しかし施設面では既存の部屋の活用や、入浴方式の改善に伴って個別リハの実施場所を確保したり、人員面でもリハ職員を増員する等、運営内容や実施体制についても改善が徐々に行われていた。 高齢者の日常的な生活をさせる一方で、老健I では終末期ケアに対する取組みも積極的に行われており、終末期ケアの利用者の大半は終末期だけの利用ではなく、より早い段階から長期的・継続的に利用がなされていた。単に在宅復帰率を高めるのではなく、在宅復帰後の生活支援や、状態悪化時の終末期ケアも含めた継続的・連続的な対応が利用者と家族の信頼感・安心感を得る上で重要となることが示唆された。
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Research Products
(1 results)