2012 Fiscal Year Research-status Report
長期介護を行ったALS罹病者遺族における生活環境の再構築過程に関する研究
Project/Area Number |
24760510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
亀屋 惠三子 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (70462140)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生活環境 / ALS / 遺族 / 悲嘆 |
Research Abstract |
本研究は長期在宅介護を行ったALS患者を看取った主介護者を対象とし、遺族が患者逝去後の生活環境をどう復元していくのか、その過程や要員に焦点を当てたものである。調査は遺族というデリケートな対象であることを加味し、①アンケート調査と②訪問調査を行った。それぞれ19名(うち在宅療養者17名)と6名の対象者を得た。アンケート調査では、回答者の属性を尋ねると同時に、居室の使われ方の変化や悲嘆感、生活史についても尋ねた。訪問調査では、現在の住まい方に至る療養期からの住まいの変化をヒアリングし、それを図面に記載した。 アンケートを行った結果は下記の通りである。①患者逝去後に療養室の整理をした対象者が多く、およそ8割にも及ぶ。整理をしたきっかけはレンタル品の返却等による受動的なものが中心であった。②療養室として使用していた居室は現在も継続使用されている場合が多く、その傾向は居間や居間との続き間を療養していた場合により謙虚になることが確認された。③患者を失った遺族の日中の過ごし方は、外出が8割以上であった。外出内容はプライベートと社会的な役割に分けられ、今まで侭ならなかった自分の時間を少しずつ埋めていると考えられた。 続く訪問調査では、①罹病者が亡くなることによって、住まいの使用領域の縮小や住まい方の変化など、生活環境が再編されることが確認された。②再編の基準と考えられる要点としては、元療養室の使用状況(保存の可否)と寝室移動が想定された。③死別対処尺度と遺品整理などの環境再編には相関関係があることが予測された。 今後、より遺族を獲得できるよう、全国のALS協会を通じて働きかけていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前倒しで調査を進めているため、1次分析が完了できている状態にある。今年度は1次分析の結果を踏まえて、さらに調査対象者を拡大して行う予定であるが、対象遺族の調査協力の同意を得ることが大変困難であるため、どこまで獲得できるかは未知数である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ALS協会みえと宮城県支部に遺族の協力を依頼しているところであり、今年度を目標に調査を完了する予定にある。また、調査の過程で遺族ケアは誰が担うべきかについて疑問が生じたため、訪問看護協会などを通じたアンケート調査も視野に入れている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度、研究設備を更新しようとしていたが、機種やアプリケーションを選択する時間よりも、調査進行にできるだけ多くの時間を要したかったために設備の更新がうまくできなかった。また、調査協力者の獲得の困難から、遠方への出張費用の予定が一部縮小したため、執行にやや遅れが出ている状況にある。 次年度は研究室で使用していたPCの老朽化により、図面のCAD化がスムーズに進まないところも出てきているため、PCを新たに1台購入したいと考えている。また、調査携帯用のPCにおいてもスペッグに問題があるため、購入を検討している状態にある。その他、研究を充実させるため、医療看護分野の専門家にも意見を伺いたいと考えており、有識者謝金等も使用予定である。
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Research Products
(2 results)