2013 Fiscal Year Research-status Report
長期介護を行ったALS罹病者遺族における生活環境の再構築過程に関する研究
Project/Area Number |
24760510
|
Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
亀屋 惠三子 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70462140)
|
Keywords | 遺族ケア / 住まい方の変化 / 悲嘆心理 / 遺族の住まい |
Research Abstract |
昨年に引き続き、長期在宅療養を行ったALS遺族を対象に、アンケート調査と事例調査を行い、研究の2次的なまとめを行った。 当該年度では7名を対象にアンケート調査や事例調査を追加で実施し、療養環境から生活環境へと再編していく過程と要点を明らかにした。主な調査と知見は以下の通りである。 (1)遺族の主体条件調査、生活時間調査の結果:患者を亡くした高齢の遺族は一人暮らしとなる傾向が強い。療養中は1日の大半が介護時間となっていたが、逝去後の生活は農作業を含む仕事か外出行動に取って代わっていた。 (2)モノの整理に関するアンケート調査結果:片付けに要する時間と落ち着くまでの期間は共に1年程度であった。レンタル品の返却や仏事等が片付けのきっかけとなって、その後少しずつ整理し始める遺族が目立った。 (3)住まい方の変遷調査結果:患者の逝去後の住まいは、復元・半復元・再構築・変化なしの4パターンに概ね分けられ、再構築を行う人が最も多い。その傾向は都市LDK型の住まいにやや顕著にみられた。再構築の要因としては、居間が療養室であったこと、新しい環境で新しい生活を送りたかったことなどが挙げられた。療養室を居間とする傾向が強かったALS患者の住まい方は、患者逝去後の生活環境の再編に関しても前向きな影響を与えうることが確認された。しかし依然として療養室が空室のままである場合も多く、家族や生活が縮小していることが窺える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺族というデリケートな対象者であるため、調査協力をお願いすることが大変困難であった。しかしながら、患者の存命時代からの長期に及ぶ家族介護者との関わりから、調査協力が得られることとなり、計27名もの調査協力者に恵まれることとなった。それにより、事例調査が進展し、データも豊富に取得することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の目標としては、悲嘆心理学の専門家に研究協力を求め、遺族の悲嘆心理がガンなどの短期患者と比較して、どのような特徴があるのかを探るとともに、訪問看護師が好意で遺族訪問している実態をアンケート調査にて明らかにし、誰が遺族ケアを担うべきなのかの可能性を探ることを予定している。 また研究成果は論文や学会発表を行うだけではなく、ホームページなどを用いてインターネットで広く公開し、様々な専門家からの助言をいただく場を作るとともに、今後の遺族ケア環境のプラットフォームになる場を試作する
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PCが不良で、研究結果をまとめるのに支障が出ており、新しいPCを購入しようと考えているが、調査実行のスケジュールを組むことや分析に忙しく、適したPCを選択するための時間を費やすことができなかった。どのようなものを購入したらいいかを検討する時間も惜しんで不良PCで作業を行ったことが主な要因である。 また、結果がまとまらない限り、有識者へ意見を求めることができなかったため、謝金等も使用できていない状況にある。 少し落ち着いて考える時間ができたら、PCの購入を行い、統計ソフトや解析ソフトを用いて、3次分析を行いたいと考えている。また研究結果を持って、有識者との面談を行い、研究をよりスキルアップすることに力を注ぐ予定である。有識者などへの面談は謝金および旅費も発生するため、残金については使用予定である。
|
Research Products
(4 results)