2012 Fiscal Year Research-status Report
急性期病棟の室構成が病床管理に与える影響に関する研究
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24760513
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小菅 瑠香 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (50584471)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 病院建築 / 病棟 |
Research Abstract |
国の政策によって医療施設の機能分化が行われ、近年の急性期病院の病棟は、これまで以上に重症患者が集中するようになった。こうした状況は、患者各々を看護療養に適した病床に配し、かつ病床利用率をあげるための「病床管理」にも影響を及ぼしている。 本研究は、研究代表者が平成22 年度から23 年度にかけて行った「個室化する病棟の看護管理と環境的変化に関する研究」(研究活動スタート支援:課題番号22860083)で得られた研究成果を踏まえて行われている。前述の先行研究の結論では、単なる病棟の個室率の多寡のみでなく、病棟の室配置や患者配置が、病棟運営や療養環境に与える影響の大きさも示唆した。これに基づいて、本研究はより幅広い意味での病棟の室構成に焦点をあてて、病床管理の一助となるような病棟建築計画と病棟運営指標との関連性を明らかにする目的で行っている。 本研究は2年間で一定の成果を得られるよう計画されている。当初の目標では、初年度は多くの病棟事例訪問ヒアリング調査を通して、病棟構成と運営の関連性についての傾向をまとめ、次年度は得られた事例のなかから具体的な病棟における病床管理の実態調査を通して、より詳細な病棟構成と運営の関連性を検証することとしていた。進捗状況としては、初年度を終えた現在、既に6病院のヒアリング調査が済んでいる。病室と便所位置の関係性によって、患者の早期離床を促すことの出来る可能性があること等が明らかになった。ヒアリング調査を行った病院のうち、より具体的な病棟利用調査を行うことの出来る事例を選定し、現在病院スタッフとともに詳細な調査計画を練っているところである。 また先行で行った患者の病棟転床のケーススタディを、今回の調査に基礎データとして活かせるよう整理するとともに、研究成果として日本建築学会の論文集に投稿した(2013年4月に掲載が決定している)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに6病院のヒアリング調査を終了し、結果を整理している。さらに次年度実行予定の現地調査について、すでに協力病院を選定し、月1回以上の打ち合わせにおいて、病院スタッフと調査計画を練っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象病院の病棟改築前後で、内科・外科各1病棟ずつ、下記について比較調査を行う。改築前の調査は4月の時点で終了させ、分析を開始する。改築後の調査については、既に運営の始まっている病棟において6月から7月にかけて実施し、その後分析を行う。 (1)患者の属性と病床配置(1ヶ月、匿名)、(2)患者病室と便所の距離、および排泄方法(1ヶ月、匿名)、(3)患者の病棟内転床(1ヶ月、匿名)、(4)看護師動線の追跡(1週間、匿名)、(5)来訪者の滞在時間(1ヶ月、匿名) また夏頃には関連の学会において、研究成果の一部を病院と共同で発表していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒアリングおよび現地調査に必要な旅費、調査に必要な計測機器や文房具等の費用、データ入力等の手伝いに対する謝金、関連書籍の購入費、論文印刷費および投稿費として使用する。
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