2013 Fiscal Year Annual Research Report
急性期病棟の室構成が病床管理に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
24760513
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
小菅 瑠香 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 助手 (50584471)
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Keywords | 建築計画 / 医療施設 / 病床管理 |
Research Abstract |
我が国の急性期病院では平均在院日数が著しく短縮し、重症入院患者の割合が増加している。しかし急速な患者像の変貌に病棟の建築計画は対応できているとは言えず、多くは従来の大規模で多床室中心の病棟のまま、重度の患者ケアを行うことを余儀なくされている。 平成22 年度から23 年度にかけて「個室化する病棟の看護管理と環境的変化に関する研究」(研究活動スタート支援22860083)を実行し、多床室主体病棟と全個室病棟では諸々の条件の違いにより病床管理や利用率に差が出る可能性を明らかにするなど、一定の成果を挙げた。より多角的な情報を得るために、本研究では新たに多床室主体病棟から個室率を上げて病棟の室構成を変えた一病院の建替前後を対象に比較調査を行った。対象病院は、内科で2.8%から32.3%、外科で8.5%から33.3%へ個室率をあげている。また病棟中央の集中配置していた便所を、建替により各室分散配置とした。 旧病棟の調査は2012年11月19日から12月14日、新病棟の調査は2013年6月3日から6月30日にかけて、内科および外科各1病棟で行った。調査項目は①期間中の患者の病床配置と理由および属性の記録、②期間中の見舞い客による滞在場所と滞在時刻の記録、③期間中の患者の病床配置と排泄形式の記録であった。見舞い以外のいずれの調査も病院スタッフによる記録とし、調査員に記録が渡る際には患者番号を振り直して匿名性を高め、院外に個人が特定できる情報が出ないよう十分に配慮した。 結果として調査期間中の1床あたりの病棟内転床は減少し、内科では多床室主体病棟で「他患者のベッド調整のため」を理由としていた転床が少なくなった。見舞いの滞在時間に大きな変化は見られなかった。排泄行動においてはポータブルトイレの使用が減少し、特に一定の看護必要度の患者には分散配置便所が有効に機能していると考えられた。
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