2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24760529
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
佐藤 桂 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, アソシエイトフェロー (80454198)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カンボジア / 古代都市 / クメール遺跡 / GIS / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である平成27年度は、カンボジアにおける現地調査を2度実施し、タネイ寺院遺跡でのデータ収集を行った。具体的には、遺構や散乱石材の写真を網羅的に撮影し、SfM(Structure from Motion)と呼ばれる写真測量の手法を用いて、三次元モデルを作成すると同時に、標定点を設置してトータルステーション測量を行うことで、モデルに座標値を与えた。また、このモデルのオルソ画像を抽出してトレースすることで、遺跡の図面を作成する手法について検討し、その手順をまとめた。 他方、アプサラ機構が所有するLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)のデータから、同寺院の配置計画に関する広域的な分析を行った。その結果、タネイ寺院遺跡の領域がこれまで確認されていたよりも、少なくとも一回り外周に境界線を有していること、また、この新しく確認される第4の周壁が、第3の周壁内と同じ寸法体系によって計画されたらしいことが推定された。併せて、その軸線の傾きが、アンコール・トムの東側に位置する同時代の寺院遺跡であるバンテアイ・クデイ及びスラ・スランと特に類似することが確認された。 遺跡の立地条件に関しては、これまでに明らかとなっている遺跡の位置に関して、GISの空間分析機能を用いて、特に①水路沿い、②道路沿いにおける遺跡の分布状況に注目し、分析を試みたが、いまだ十分な結果は得られていない。ただし、上記のほかに③分水界に遺跡が立地する傾向が見られ、これは解析結果からも確認することができた。
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