2013 Fiscal Year Research-status Report
横須賀製鉄所のフランス語資料分析による建築技術史的研究
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24760530
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Research Institution | The Yokosuka City Museum |
Principal Investigator |
菊地 勝広 横須賀市自然・人文博物館, その他部局等, 学芸員 (80321892)
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Keywords | 横須賀製鉄所 / 横須賀造船所 / 建築技術史 / ヴェルニー / ティボディエ / モンゴルフィエ / 国際情報交換 / フランス |
Research Abstract |
当該年度は、伐木技師デュポンの森林調査に関するフランス語の著作物の解読作業を中心に進めた。この解読作業は次年度も継続するものであるが、これまでの解読作業の結果からは、デュポンによる森林調査の建築技術史上における重要性が幾つも見出されており、我が国における建築技術史研究上で重要な史実として今後も重要視して解読作業を進め、成果の論文化を目指す考えである。 この他、副首長ティボディエの子孫に伝来する「ヴェルニーのサイン入りの横須賀製鉄所基本方針書」の翻訳も行った。この資料は、建築技術史に直接関係する内容は少ないものの、横須賀製鉄所の施設としての性格を位置付けて考察する上で、踏まえておくべき資料であり、今後、何等かの関連論文の中での紹介を検討している。 また、これまでの研究により、横須賀製鉄所製煉瓦の寸法規格がブレスト海軍工廠規格にあったことを明らかにした上で、ブレスト海軍工廠製煉瓦の製造方法に関する技術書の翻訳と分析を昨年度から今年度にかけて実施した。その結果は、平成25年度の『博物館研究報告(人文科学)』(横須賀市自然・人文博物館発行)に、共著者(半田モレル純子)の支援を得て報告した。 加えて、日仏の技術資料の記述との対比的研究の一環として、旧横須賀製鉄所1号ドックを対象とした現地調査も複数回実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロフィルムの接写資料が低画質であるために解読作業に支障が出ており、研究進展上で大きな課題となっている。これは、マイクロフィルムの複製を入手しても解決困難な状況で、本研究を進める上で大きな課題である。この他、翻訳の専門用語の訳語設定および1860年代当時のフランスと日本における建築土木分野の技術進展の状況把握に計画策定時の想定以上に時間を割かれる結果となったが、この課題は、今後の研究の質的向上を図る上で必要なものであり、引き続き、同時代の技術史状況の研究を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
専門用語の訳語設定については、現代の建築土木技術者へのヒアリングを開始しており、翻訳作業の進展に資している。また、翻訳作業全般について、次年度以降はこれまでに比して、翻訳分量を増やす計画である。 ブレスト市およびブレスト市内の複数の大学関係者より共同研究推進の打診を受けており、その共同研究推進によって横須賀製鉄所とブレスト海軍工廠の対比的研究を更に深く掘り下げて進展させる計画である。この他、フランス国内で横須賀製鉄所の研究に取り組む研究者が増えてきており、その内の一部の研究者については、情報交換を行いながら研究を進める計画があり、今後、当該研究テーマに新たな展開がもたらされる可能性もある。また、解読作業に支障が出ているマイクロフィルムの接写資料のうち、特に重要な資料については原本閲覧が叶うよう、情報収集を引き続き進める計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外での資料収集調査を調査先との調整の都合で延期したのに伴い、主に、旅費ならびに物品費で次年度使用額が生じた。また、接写したフランス語資料に、画質の関係で解読困難なものが多くみられ、当該年度も翻訳対象資料の選定に研究時間を割いたため、翻訳委託料に次年度使用額が生じた。 資料収集調査の調査先との調整を継続して実現を目指すと共に、翻訳量を増やして研究の推進を継続する計画である。
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Research Products
(12 results)