2012 Fiscal Year Research-status Report
ルチル型二酸化チタン表面の超親水化反応に伴う表面構造変化の研究
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24760542
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白澤 徹郎 東京大学, 物性研究所, 助教 (80451889)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光誘起構造変化 / 表面X線回折 |
Research Abstract |
平成24年度は、紫外光照射によるルチル型TiO2(110)表面超親水化反応に伴う表面構造変化の研究を行った。表面構造変化の観測には、我々が開発してきた波長分散集束X線ビームを利用したX線結晶トランケーションロッド同時測定法を用いた。これによって、光学系や試料を一切動かすことなく、広いq範囲の結晶トランケーションロッド散乱分布を同時測定することが可能になり、反応中の表面構造変化をその場観察することに成功した。測定では、表面敏感性を高め、かつ基板からのバックグラウンドを低減するために、波長分散X線ビームの高エネルギー成分に対して全反射臨界角になるように試料の入射角を設定した。紫外光を照射しながら、チタン原子配列からの寄与がなく、酸素原子配列のみが寄与する結晶トランケーションロッド散乱プロファイルの強度変化をその場観察したところ、明瞭な時間変化が見られた。強度プロファイルの変化は一様ではなく、これは表面の酸素原子配列が変化することを示しており、超親水化反応に関する新しい重要な知見を得ることができた。この結果を、日本物理学会2012年秋季大会及び、2013年物構研サイエンスフェスタにて発表した。 上記の測定は、既存のゴニオメーターを用いて行ったが、測定精度と測定効率を向上させるために、サークル型回転ステージの設計製作を行った。これを既存のゴニオメーターに取り付けることで、4軸回折計として用いることができ、より精密で高効率な表面X線回折実験を行うことが可能になった。 また、本測定系を用いることで、X線反射率測定の迅速測定が可能であることを示すことができたため、投稿論文にまとめ、掲載受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、まずサークル型回転ステージを設計製作し、これを用いた表面X線回折実験によって、ルチル型TiO2(110)表面構造解析を行う予定であったが、製作に時間がかかることが判明したため、先に次年度に行う予定であった表面構造の時間変化測定を行った。研究実績の概要欄にあるように、時間変化測定では重要な知見を得ることができ、また、サークル型回転ステージも年度内に製作することができた。このため、実験計画の前後はあったが、研究自体はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に製作したサークル型回転ステージを搭載した4軸回折計を用いた表面X線回折実験を行い、ルチル型TiO2(110)表面構造解析を行い、原子レベルの構造情報を得る。この情報をもとに、紫外光照射による表面構造変化の時間変化測定をさらに詳しく調べ、超親水化反応と表面構造の関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
表面X線回折実験用の消耗品(光学系に用いるポリクロメーター結晶や試料結晶)と、研究発表のための旅費に用いる。
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Research Products
(3 results)