2013 Fiscal Year Annual Research Report
ルチル型二酸化チタン表面の超親水化反応に伴う表面構造変化の研究
Project/Area Number |
24760542
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白澤 徹郎 東京大学, 物性研究所, 助教 (80451889)
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Keywords | 光誘起構造変化 / 表面X線回折 / 表面濡れ性 |
Research Abstract |
表面X線回折法を用いて、紫外線照射によるルチル型二酸化チタン(110)表面の濡れ性変化における、①紫外線照射前(疎水性表面)の表面構造解析、②紫外線照射後(超親水性表面)の表面構造解析、③紫外線照射中におけるX線結晶トランケーションロッドの時分割測定を行った。①と②は単色X線を用いた従来法を用い、③は申請者等が開発した波長分散法を用いた。 構造解析の結果、疎水性表面においては、再表面に水分子層(1分子層)が周期配列していることが分かった。この構造は水中において提案されている構造と一致しており、大気中においても、水分子が1層だけ化学吸着していることが分かった。一方、超親水性表面においては表面粗さが増加し、水分子層の周期配列が解消されていることが分かった。 時分割測定によってこの変化が100秒程度の時間スケールで起こることが分かった。この時間スケールは二酸化チタン表面が超親水化する時間スケールと同じであり、濡れ性変化によって表面構造が原子スケールで変化する様子を初めて観測することができた。この構造変化は雰囲気中に活性酸素があるときには起こらなかった。 上記の結果から、以下のモデルを提案した。紫外線照射によって表面に酸素欠陥ができ、それを埋めるように水分子が化学吸着する。疎水性表面においては水分子は二酸化チタン表面と整合するように周期的に吸着するため、水分子間で水素結合を作ることができないが、超親水性表面では酸素欠陥があるため、水素結合ネットワークをつくりながら不規則に吸着することができる。これにより水分子の密度が大きくなり表面が親水化する。 この結果は第27回日本放射光学会(2014年1月)において口頭発表した。
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Research Products
(3 results)