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2012 Fiscal Year Research-status Report

酸素四面体を基本構造とする環境親和型強誘電体の新規開発

Research Project

Project/Area Number 24760543
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

谷口 博基  東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (80422525)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords強誘電体 / 酸化物 / シリケート
Research Abstract

平成24年度の実施計画に従って、Bi2SiO5の単結晶育成を行った。合成した単結晶を粉砕してSpark Plasma Sintering法によって焼結し、セラミックス試料における誘電率の温度依存性を計測した。その結果、約400℃近傍において、強誘電性相転移に起因する誘電率のピークを確認した。さらに、多結晶試料をダイヤモンドカッターによって切り出して適宜整形し、結晶劈開面内および面直方向の誘電率の温度依存性を測定した。その結果、誘電率のピークは面内方向の分極揺らぎに起因することを明らかにした。続いて、面直方向のP-Eヒステリシスの観測を実施した。その結果、明瞭な分極反転の観測に成功し、Bi2SiO5が強誘電体であることを実証した。
次に、Bi2SiO5の強誘電性発現のメカニズムを明らかにするために、ラマン散乱、透過型電子顕微鏡(TEM)観察、第一原理計算、およびSPring-8による放射光粉末X線回折を実施した。ラマン散乱においては、低振動数領域に400℃の相転移温度に向かってソフト化する強誘電性ソフトモードを発見した。また、第一原理計算によって、この強誘電性ソフトモードがBi2SiO5中の酸素四面体一次元鎖の屈曲揺らぎに起因することを明らかにした。TEM観察においては、従来報告されていたBi2SiO5の室温における斜方晶の結晶構造が誤りであることを発見し、実際には単斜晶の結晶構造を有することを明らかにした。ここで得られた結晶構造を手がかりとして、精密な放射光構造解析を実施した結果、Bi2SiO5の強誘電性相転移が、ラマン散乱と第一原理計算に結果と一致する、酸素四面体一次元鎖の屈曲によって生じることを明らかにした。
上記の結果は現在Angewandte Chemie International Editionに投稿中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

平成24年度に実施予定の、①試料合成、②ラマン散乱、③第一原理計算、④透過型電子顕微鏡観察、および⑤放射光X線粉末回折をすべて実施し、その結果として酸素四面体一次元鎖の屈曲に起因する、まったく新しい強誘電性発現のメカニズムを明らかにすることができた。これは、予定していた研究目標を超える成果であり、この結果を基にして現在、新たな強誘電体設計を実施している。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度に得た成果に基づいて、結晶構造中にBi2SiO5と同様の酸素四面体一次元鎖を有する化合物系における強誘電性の創出に取り組む。特に、酸素一次元鎖が互いに連結したフレームワーク構造と呼ばれる構造を有する化合物に着目して研究を実施する。具体的には、充填トリジマイト型化合物のセラミックス試料および単結晶試料を合成し、誘電率の温度依存性より強誘電性相転移の評価を行う。また、ラマン散乱および第一原理計算より相転移を駆動するソフトモードの探索を行う。さらに、TEM観察および放射光構造解析によって相転移前後の構造を決定し、ラマン散乱と第一原理計算によって得られた結果と比較・検討することで、強誘電性のメカニズムを明らかにする。得られた結果は随時学術会議や学術論文等において公表する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度は効率的に研究費を使用することが出来たため、フレームワーク酸化物の合成と物性評価に関する実験を翌年度以降に行うこととした。そのために生じた残額は、翌年度以降に請求する研究費と合わせて次に示す実験に使用する。試料合成に必要な電気炉、Pt坩堝、アルミナ焼成器具、および薬品等を研究費によって購入する。また、誘電測定用の電子機器および温度コントローラを研究費にて購入する。ラマンスペクトルの温度変化を計測するための寒剤と光学部品、放射光粉末X線回折実験のためのSPring-8旅費・消耗品費等を計上する。また、研究発表および情報収集、研究打ち合わせ、論文投稿費等を計上する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Presentation] 酸素四面体ネットワークを用いた強誘電体設計新原理2013

    • Author(s)
      谷口博基
    • Organizer
      第6回ワークショップ「固体材料合成および評価技術の新展開」
    • Place of Presentation
      福島
    • Year and Date
      20130901-20130903
    • Invited
  • [Presentation] 化学結合から見たペロブスカイト型酸化物における強誘電性発現機構と新強誘電体設計への展望2013

    • Author(s)
      谷口博基
    • Organizer
      日本物理学会
    • Place of Presentation
      広島大学
    • Year and Date
      20130326-20130329
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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