2012 Fiscal Year Research-status Report
有機ー無機複合体ミクロカプセルを用いた微小空間における生理活性物質の合成
Project/Area Number |
24760549
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
城崎 由紀 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 准教授 (40533956)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機-無機複合体 / キトサン / ケイ酸 / ミクロ粒子 |
Research Abstract |
キトサンにケイ酸化学種を分子レベルで修飾し皮膜の物質透過性を制御したミクロカプセルを創製し,カプセル内部の微小空間において生理活性物質を合成することが目的である。本年度は,皮膜あるいはカプセル内にカルシウムイオンを導入し,それらのアパタイト形成能を確認した。またマイクロ流路を用い,キトサン-ケイ酸ヒドロゲルミクロ粒子を作製し,その粒径を制御した。 (1)ミクロカプセルの創製:キトサン-ケイ酸ゾル溶液にカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)溶液をを滴下した。さらにゾル溶液あるいはCMC溶液に塩化カルシウムを導入した。導入する塩化カルシウムの量,溶液のpHを変化させた。得られたカプセルをリン酸塩水溶液あるいは擬似体液に浸漬し,アパタイト形成能を確認した。リン酸塩水溶液への浸漬時間が長いほど,析出したアパタイト量は増加した。一方,リン酸塩水溶液浸漬したカプセルを擬似体液に浸漬するとさらにアパタイトの析出量が増した。塩化カルシウムを皮膜あるいは芯部のどちらに導入した場合にも,皮膜表面にのみにアパタイトが析出している様子が観察された。これより,カプセル内部ではなく,カプセルから溶出したカルシウムイオンが,カプセルの皮膜表面でリン酸イオンと反応し,アパタイトを形成したと考えられる。現条件では,皮膜全面をアパタイトで覆うには至っていないため,カルシウム導入方法とその後のリン酸イオンとの反応条件を検討する必要がある。 (2)ミクロ粒子の創製:流路の幅および深さを制御したマイクロ流路を用い,350μm~1mmまで粒径分布が±10μmのキトサン-ケイ酸ヒドロゲルミクロ粒子を作製できた。このミクロ粒子に非水溶性分子を導入すると,ケイ酸の含有量によってその放出量を抑制することができた。さらにミクロ粒子に塩化カルシウムを導入すると,リン酸塩水溶液中でアパタイト形成することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年9月に,前職より現職に異動した。そのため,空の実験室を立ち上げるところから始めざるを得ず,細胞培養に関する検討を行うことができなかった。 そのため,カプセルへのカルシウムイオン導入によるアパタイト形成能の確認など,次年度検討事項を前倒しで進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,24年度に滞っていた細胞包括に関する実験を進める。骨芽細胞および繊維芽細胞をカプセル内部に包括し,カプセル内部での細胞増殖・分化活性を調べる。またカプセルから溶出するケイ酸種がカプセル内外に存在する細胞に及ぼす影響を調べる。カプセル壁面への細胞の接着形態を細胞骨格(アクチンフィラメント)および接着斑(ビンキュリン等)の蛍光標識による蛍光顕微鏡(設備備品として要求)観察より詳細に調べる。さらに骨髄由来間葉系細胞を同様に包括させ,カプセル内部での骨石灰化能を観察する。一方,平成2年度に検討した,化学反応を用いたアパタイト形成に関しては,カルシウムイオンの導入方法およびリン酸イオンとの反応条件をより詳細に検討し,カプセルあるいはヒドロゲル粒子を鋳型としたアパタイトミクロ粒子の創製を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年と同様,研究経費に掲げたものは全て消耗品,旅費,謝金に充当する。旅費については,本研究内容に関して2度の学会発表(国内1回,海外1回)を予定している。 謝金は,試料作製の実験補助として830円/時間 週1回5時間を予定している。 その他,表面分析のための装置利用費,研究成果発表として論文投稿費に使用する。
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