2013 Fiscal Year Research-status Report
有機ー無機複合体ミクロカプセルを用いた微小空間における生理活性物質の合成
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24760549
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
城崎 由紀 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 准教授 (40533956)
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Keywords | 有機-無機複合体 / キトサン / ケイ酸 / ミクロ粒子 |
Research Abstract |
キトサンにケイ酸化学種を分子レベルで修飾し皮膜の物質透過性を制御したミクロカプセルを創製し,カプセル内部の微小空間において生理活性物質を合成することが目的である。本年度は,昨年に引き続き皮膜あるいはカプセル内にカルシウムイオンを導入し,それらのアパタイト形成能を確認した。またキトサンの溶媒種を変え,できるだけ中性付近でカプセルを作製することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ミクロカプセルの創製 キトサン-ケイ酸ゾル溶液にカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)溶液を滴下した。さらにゾル溶液あるいはCMC溶液に塩化カルシウムを導入した。導入する塩化カルシウムの量,溶液のpHを変化させた。得られたカプセルをリン酸塩水溶液あるいは擬似体液に浸漬し,アパタイト形成能を確認した。リン酸塩水溶液への浸漬時間が長いほど,析出したアパタイト量は増加した。一方,リン酸塩水溶液浸漬したカプセルを擬似体液に浸漬するとさらにアパタイトの析出量が増した。塩化カルシウムを皮膜あるいは芯部のどちらに導入した場合にも,皮膜表面にのみにアパタイトが析出している様子が観察された。これより,カプセル内部ではなく,カプセルから溶出したカルシウムイオンが,カプセルの皮膜表面でリン酸イオンと反応し,アパタイトを形成したと考えられる。浸漬条件および導入カルシウムイオン量を変化させて,昨年度よりも表面に析出するアパタイト量は増加したが,そのカプセル形状を乾燥後に保てなかった。 (2)キトサン溶液の溶媒種の検討 カプセル内での細胞培養を試みたが,カプセル作製時の操作時間によって,溶媒である酢酸が細胞と触れやすくなり,成長を妨げた為,溶媒種を検討した。生体内に存在しできるだけ中性付近で皮膜の強いカプセルを作製可能にする為,アスコルビン酸とグルタミン酸を用いると,pH6付近でカプセルを作製することが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,異なる溶媒種を用いたカプセルを用い細胞包括に関する実験を進める。骨芽細胞および繊維芽細胞をカプセル内部に包括し,カプセル内部での細胞増殖・分化活性を調べる。カプセル壁面への細胞の接着形態を細胞骨格(アクチンフィラメント)および接着斑(ビンキュリン等)の蛍光標識による蛍光顕微鏡観察より詳細に調べる。さらに骨髄由来間葉系細胞を同様に包括させ,カプセル内部での骨石灰化能を観察する。一方,化学反応を用いたアパタイト形成に関しては,カプセルの乾燥条件を検討し,カプセルを鋳型としたアパタイトミクロ粒子の創製を目指す。
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Research Products
(3 results)