2012 Fiscal Year Research-status Report
構造規制されたカーボンナイトライドを用いた光機能性材料の創出
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24760553
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
東本 慎也 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (70368140)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カーボンナイトライド / 光触媒 / 可視光 / グリセリン / 水素製造 / 量子化学計算 / 光電気化学 |
Research Abstract |
高表面積を有するカーボンナイトライド(CN)の合成およびCN担持二酸化チタン(CN/TiO2)光触媒を作製し,可視光で応答する光触媒反応系への応用に関する検討を行った.本研究では,バイオディーゼル(BDF)燃料の製造時に発生するグリセリンの有効利用を見据え,これらの光触媒上でのグリセリン水溶液からの水素製造における触媒作用の解明を目的とした. 得られた主要な成果は以下の通りである. 1 鋳型としてY-ゼオライトを用いて細孔内部にCNの合成を試みた.その結果,鋳型を用いずに合成したCNよりも高表面積を有していることがわかった.しかしながら,Y-ゼオライトに由来する構造は保持されていないことがわかった. 2 異なる仕込み量のシアヌル酸とTiO2との熱縮合反応によって,CN/TiO2光触媒を合成した.これらCN/TiO2光触媒は,CN単体に比べ高表面積を有し,TiO2の表面上に窒素および炭素種として,カルボジイミド(-N=C=N-),ニトリル(-C≡N)構造およびtri-s-triazine環が連結したmelem/melon構造が形成されることを明らかにした. 3 CNまたはCN/TiO2光触媒を用いて,可視光の照射下,グリセリン水溶液からの水素製造について検討を行った.その結果,CN/TiO2光触媒は水素製造において,CN単体光触媒に比べ高い活性を示すことを見出した.また,アクションスペクトルの解析により,CN/TiO2光触媒上に担持されたCNが水素生成反応の光活性種として働くことが明らかとなった.さらに,量子化学計算と光電気化学測定を駆使することで,光活性種の電子状態やエネルギーバンド構造に関する知見を得ることができ,これらを利用して,光触媒上での可視光照射によるグリセリン水溶液からの水素生成反応のメカニズムを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Y-ゼオライトを鋳型として用いて,構造が規制されたCN光触媒の構築を試みたが,現時点では成功に至っていない.しかしながら,CNをTiO2光触媒上に固定化担持させると,可視光応答型光触媒として十分に機能すること,さらに各種分光学的手法,光電気化学的測定および量子化学計算を駆使することで,光活性種の構造の同定,およびグリセリン水溶液からの水素生成反応のメカニズムを分子レベルで解明した.また,従来の窒素ドープ型二酸化チタン光触媒と比較すると,CN/TiO2光触媒上での活性種の構造(電子状態)が全く異なることを明らかとし,反応活性の差異を説明することができた. 今後の研究において,これらの知見に基づいたさまざまな光触媒反応の設計が可能となるため,おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
構造規制されたCN光触媒の合成について,引き続き検討していく.また,現在までに合成に成功したCNまたはCN担持TiO2(CN/TiO2)光触媒を用いて,下記に示す1から3について,可視光照射下での選択的光有機合成反応について検討を行う. 1 芳香族および脂肪族アルコールからカルボニル化合物類への選択的光酸化反応について,水媒体または有機溶媒中での反応の評価を行う.また,金属微粒子をCNに固定化担持し,電荷分離を促進させることで反応活性の向上を図る. 2 アミンの2量化反応,アルコールとアミンからイミンへのone-pot合成反応系,およびアルコールとジアミンを原料とするベンズイミダゾール合成反応系の構築を行う. 3 CN光触媒は,それ自身が光増感剤として働くため,CO2の還元触媒をCN上に以下の方法論に従って構築する.i) Cu金属微粒子をC3N4上に担持させることで電荷分離を促進させる.ii) 2,2-bipyridine-4,4-dicarboxylic acidとCNを熱還流によって反応させて固定化し,その後,Ru(bpy)(CO)2(CF3SO3)2 を用いて,ビピリジン環にRu錯体を配位させる.同様にRe(CO)5ClとP(OEt)3をC3N4上に固定化担持することでRe錯体を配位させる.これら光触媒を用いて,水,トリエタノールアミンまたはEDTAを電子源と見なし,可視光の照射下で二酸化炭素の還元反応を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた反応実験が遂行できておらず,それに必要な100,000が繰越金となっている.繰越金と次年度申請額500,000円をあわせて以下の物品購入を予定している. 消耗品:ガラス器具,試薬およびキャピラリーカラム(140,000円) 設備費:ガス置換用グローブボックス(460,000)
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[Journal Article] Characteristics of the charge transfer surface complex on titanium(iv) dioxide for the visible light induced chemo-selective oxidation of benzyl alcohol2013
Author(s)
Higashimoto, S., Tanaka, Y., Ishikawa, R., Hasegawa, S., Azuma, M., Ohue, H., Sakata, Y.
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Journal Title
Catalysis Science and Technology
Volume: 3
Pages: 400-403
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Characteristics of the charge transfer surface complex on titanium(iv) dioxide for the visible light induced chemo-selective oxidation of benzyl alcohol2012
Author(s)
Higashimoto, S., Okada, K., Azuma, M., Ohue, H., Terai, T., Sakata, Y.
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Journal Title
RSC Advances
Volume: 2
Pages: 669-676
DOI
Peer Reviewed
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