2012 Fiscal Year Research-status Report
絶縁性リチウム複酸化物をモデルとした導電ネットワークの制御
Project/Area Number |
24760559
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小寺 喬之 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 特命助教 (80456433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 複合効果 / イオン導電パス |
Research Abstract |
本研究は、絶縁性の酸化物に炭素による均一な導電ネットワークを形成して、粒子中および粒子間における電子およびイオンのスムーズな拡散が可能な粒子構造の実現を目指すものである。これまでに、エアロゾルの熱分解を利用してリチウム複酸化物粒子中へ炭素を分散することに成功したが、不均一な炭素分布が課題となっている。本研究では、振動波をエアロゾルに与えて、全ての原料塩を瞬時に熱分解する手法を開発して課題解決し、絶縁性のリチウム複酸化物をモデルとして、均一な導電ネットワークの形成手法を確立することを目的としている。 本研究では、エアロゾルを均一に熱分解するために、パルス燃焼装置におけるエアロゾルの導入位置、熱分解温度および振動波の周波数を調整可能な仕組みが必須である。そこで、熱風発生装置および振動波発生装置を設計し、パルス燃焼装置を試作した。動作試験を実施し、900℃までの熱分解温度および100~2000Hzの周波数で動作できることをデータとして取得し、本研究に必要な動作条件を確保できたことを確認した。 また、絶縁性の高い材料であるリン酸鉄リチウムを合成モデルとして、振動波を利用した噴霧熱分解法における粒子の生成過程を解明する研究を実施した。粒子の生成過程に影響する原料塩の熱分解挙動について、示差熱重量分析によりデータを取得した。原料塩、熱分解温度および振動波の周波数等の合成条件を変化させながら、リン酸鉄リチウム粒子の合成試験を実施した。合成条件と得られた粒子の粒子特性との関係を詳細に調べた結果、噴霧熱分解時に析出し易い原料塩ほど、および、振動波の周波数が高いほど得られる粒子の粒子径が小さくなることがわかった。エアロゾルに振動波を与えると、典型的な噴霧熱分解法とは異なり、2次粒子を形成せずに1次粒子として粒子を得られることがわかり、複合粒子合成に重要な粒子の生成過程がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、絶縁性の酸化物に炭素による均一な導電ネットワークを形成して、粒子中および粒子間における電子およびイオンのスムーズな拡散が可能な粒子構造の実現を目指すものであり、振動波を原料のエアロゾルに与えて、全ての原料塩を瞬時に熱分解する手法を開発して、粒子中への均一な導電ネットワークの形成手法を確立することを目的としている。 平成24年度は、次年度以降に合成条件、炭素分布および電気化学的特性の相関関係を明らかにして、目的を達成するために、パルス燃焼装置の試作および粒子の生成過程の解明に関する研究を実施した。試作したパルス燃焼装置は、本研究に必要な動作条件で動作できることを確認し、リン酸鉄リチウムの合成条件と粒子特性との関係を解析した結果から、合成条件の違いによる粒子の生成過程がわかった。本研究の実施計画通りに研究は進展しており、研究の目的を達成するための基盤となる本年度の目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は、平成24年度の研究データおよび知見を基に、炭素複合リン酸鉄リチウムの合成条件が炭素分布に及ぼす影響について研究を実施して、合成条件と炭素分布の関係を、オージェ電子分光法等の分光学的手法を用いて調べる。さらに、炭素分布状態および炭素量等の物理化学的特性と、電子伝導性およびリチウムイオン伝導度等の電気化学的特性との関係を、導電率およびインピーダンスのデータから解析して調べる。これらの結果から、合成条件、得られる粒子の物理化学的特性および電気化学的特性の相関関係を明らかにすることで、粒子中への均一な導電ネットワークの形成手法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、炭素複合リン酸鉄リチウムの合成、物理化学的特性および電気化学的特性の評価を実施する。それ故、合成、化学分析、リチウム電池の作製・評価及び実験装置稼動のための消耗品、資料収集、学会発表及び研究打合せのための旅費、外部施設の分析装置利用および学会誌投稿のためのその他経費が必要である。 また、平成26年度にも、炭素複合リン酸鉄リチウムの合成、物理化学的特性および電気化学的の評価を実施するため、合成、化学分析、リチウム電池の作製・評価及び実験装置稼動のための消耗品、資料収集、学会発表及び研究打合せのための旅費、外部施設の分析装置利用および学会誌投稿のためのその他経費を予定している。
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