2012 Fiscal Year Research-status Report
高強度・高靱性型SiC繊維強化多孔質SiCマトリックス複合材料の開発と耐酸化性能
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24760560
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下田 一哉 京都大学, エネルギー理工学研究所, 研究員 (40512033)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 複合材料 / 炭化ケイ素 / セラミックス / ポーラス / 耐酸化性 |
Research Abstract |
耐酸化性・耐食性と高温強度の両面をバランスよく1000℃以上の耐用温度を備える超高温材料の開発を目的に、新たな材料設計コンセプト(SiC繊維強化多孔質SiCマトリックス(SiC/ポーラスSiC))を考案した。本研究により、①結晶性の高くないSiC繊維の選択と反応焼結法によるマトリックス形成によって低コスト化に成功した。②マトリックス気孔率と繊維体積率の制御によってC界面を施すことなく200MPaを超える高強度化と擬延性挙動を兼ね備える革新的な高擬延性型SiC基複合材料の開発に成功した。③C界面を施した従来SiC/SiCと比較し、大気暴露後の800℃及び1100℃での強度・擬延性の顕著な向上を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画に記載した、反応焼結法と脱炭処理によるポーラスSiCマトリックス形成させるプロセスの構築、強度特性(最大強度・破断歪み値)に及ぼす繊維体積率・気孔率の影響の解明は十分に達成した。また、平成25年度の研究計画に記載した1500℃までの大気暴露試験による温度毎の耐酸化機構の解明は今年度先取りで実施し、問題点をすでに抽出している。マトリックスの各物性値の数値計算から得られる破壊挙動のモデリングが現時点では実験とは多少異なっており、繊維で強化した複合材料独特の特徴を考慮した破壊挙動のモデリングが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に行ったTD-DTA結果から、1200℃以上の急激な質量増加を伴う酸化がSiC/ポーラスSiCにも確認した。今後の研究として、まず大気暴露後の最大強度値・破断歪み値・破壊挙動の変化と気孔形状を中心とした微細組織・構造変化を電子顕微鏡で観察、解析を行い、SiC/ポーラスSiCの耐酸化機構を解明する。マトリックス部に気孔という特殊形状を有するSiC/ポーラスSiCは、暴露温度によっては大気暴露中気孔閉口というリスクも考えられることから、事前に1000℃程度の高温で高酸素分圧下におけるSiC独自の保護酸化機構(SiC+3/2O2=SiO2+CO)を利用し、以後の酸化を抑制する保護膜(緻密でSiC表面を完全に覆うSiO2相)の形成を並行して研究する。同様の1500℃までの大気暴露試験で保護膜の有無による気孔閉口抑制と耐酸化性向上を調べ、技術的にSiC/ポーラスSiCに適応可能かを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際学会1回、国内学会2回、京都大学への出張等の計40万円を旅費として計画している。試験片加工代、また京都大学でのXRD、SEM、TEM、FIB等の装置利用代金の95万円をその他として計画している。京都大学での装置利用の人件費の5万円を人件費・謝金として計画している。
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Research Products
(6 results)