2014 Fiscal Year Annual Research Report
イオン交換体充填有機系複合材料の劣化制御に関する基礎的研究
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24760562
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
酒井 哲也 日本大学, 生産工学部, 准教授 (70376961)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゼオライト / イオン交換 / 劣化制御 / プラスチックス / 熱硬化性樹脂 / 酸性 / アルカリ性 / 劣化 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱硬化性樹脂に無機系イオン交換体フィラー(合成ゼオライト)を充填した複合材料を作製し、酸性、アルカリ性水溶液環境において、フィラーの化学反応によって耐食性を制御することを可能とする複合材料開発を行った。 平成26年度では合成ゼオライトを熱硬化性樹脂である不飽和ポリエスエル樹脂(UP)およびアミン系エポキシ樹脂(EP)に充填した試験片を、硫酸および水酸化ナトリウム水溶液に浸せきさせた。この試験片は3種類の陽イオン交換体であるゼオライト(東ソー株式会社製,A-3,粉末,HS-320)をUP、EPに充填し、UPのみは東亞合成株式会社製の3種類の無機イオン交換体、IXE-100(陽イオン交換体)、IXE-550(陰イオン交換体)、IXE-600(両イオン交換体)を充填した。試験片の質量変化率、曲げ強度保持率、EDS分析(東工大所有)、さらにIR分析によって、試験片内のS元素(硫酸環境)、Na元素(水酸化ナトリウム環境)の侵入深さ、化学的変化を生じた劣化層の厚さなどを検討した結果、フィラーの種類によってはSおよびNaの侵入と劣化を抑制する効果があることが明らかになった。 これらの結果から、ゼオライトのようなイオン交換機能体を樹脂に充填することにより、劣化は抑制された。特に、樹脂-フィラー界面が存在することにより溶液の浸入および劣化は早いものと考えられていたが、種類によっては樹脂単体よりも劣化の進行を遅らせる効果があることも明らかにした。これは材料の耐食性向上につながる技術であり、科学的・工学的に材料開発に大きく寄与する発見であると考えられる。したがって、これらの研究内容について日本材料科学会、「材料の科学と工学」にマトリックスが不飽和ポリエステル樹脂の結果について、日本材料学会、「材料」にアミン系硬化剤エポキシ樹脂の結果についてそれぞれ論文投稿を予定している。
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Research Products
(3 results)