2012 Fiscal Year Research-status Report
高強度・高靭性ひずみ硬化型セメント複合材料の開発と評価
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24760565
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊田 貴恒 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20599055)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 繊維補強材料 / 高靭性 / 複合化 / ひずみ硬化挙動 / 一軸引張試験 / 鋼繊維 / 合成繊維 |
Research Abstract |
本研究は引張強度で10MPa以上の超高強度と引張終局ひずみで3%以上の高靭性を併せ持つ画期的な「高強度・高靭性ひずみ硬化型セメント複合材料」を開発・実現することを目的としている。 本年度は鋼繊維と合成繊維を組み合わせて混入するハイブリッド型の調合をメインに研究を実施した。これらの成果として、水結合材比および鋼繊維混入率による検討から、水結合材比20%~30%程度の低水結合材比の範囲では、鋼繊維混入率が繊維補強材料の引張性状に対して支配的に作用することが明らかとなった。また、鋼繊維と組み合わせてマトリクスに混入する合成繊維の混入率と繊維長に関しては、概ね影響が小さいことが明らかとなった。なお、鋼繊維と組み合わせて混入する合成繊維については、水結合材比が高い30%程度の場合は、マトリクスとの化学的付着性が高い繊維の方が、より高靭性な材料挙動を示すことがわかった。これらの研究成果から各影響因子の最適値を実験的に検討したところ、高強度で高靱性な引張性状を実現するには、高い繊維強度の鋼繊維を体積混入率1~2%ととし、より短い合成繊維を体積混入率0.5~1%程度、鋼繊維と一緒に混入することが最も効果的であることがわかった。また、水結合材比は繊維強度とのバランスを考えながら、より小さな水結合材比とすることが必要であることがわかった。これらの成果をもとに試作材料を開発したところ、引張強度が12MPa、引張終局ひずみが4%以上という、従来の材料よりも格段に高い性能を持った材料を開発可能であることがわかった。 したがって、これだけ高い引張強度と靭性が実現でるということは、従来のコンクリートでは不可能であったような構造架構が実現できる可能性を示唆しており、さらなる構造物の安全性の向上という観点からも非常に重要性が高い成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
材料の高靭性化を行うため、新しい手法として検討しているセメントマトリクス中にひび割れ誘発効果のある人工欠陥を導入する実験に関しては、若干実験が遅れているが、本年度の当初目標に掲げた引張強度10MPa以上、引張終局ひずみ3%以上という材料性能を有する新しい高強度・高靭性ひずみ硬化型セメント複合材料は概ね実現できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、引き続き24年度に開発した材料のさらなる高強度化・高靭性化を行うと共に、構造部材の設計に材料性能を効果的に反映させるため、寸法効果を考慮した、より部材寸法に近い大断面試験体での性能評価方法の検討を実施する。具体的には、これまで繊維補強材料の引張試験で一般的に用いられてきた薄板状の試験体よりも大きな断面である100mm×100mmの角柱試験体を用いた試験方法を提案し、その試験方法の有効性と本研究で開発した高強度・高靭性材料の引張性状における寸法効果を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせて、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)