2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポーラス金属表面における細菌および細胞の生命活動
Project/Area Number |
24760572
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
袴田 昌高 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (30462849)
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Keywords | ナノ材料 / 多孔質 / 金属 / 抗菌 |
Research Abstract |
スパッタリングおよび脱合金化法を用いて作製したナノポーラス金、およびスパッタリングを用いて作製した(ナノポーラス構造を有しない)平滑な金の表面上に、大腸菌および表皮ブドウ球菌を含む菌液を(フィルム密着法に準じて)保持した。所与時間経過後の菌液を洗い出して生菌数を計測した結果、大腸菌および表皮ブドウ球菌の生菌数は、ナノポーラス金の表面上に保持したほうが、平滑金の表面上に保持したときよりも激減していた。菌液への金イオンおよび銀イオンの溶出がないことは誘導結合プラズマ発光分光分析による元素濃度分析で確認しており、ナノポーラス金で発揮される抗菌効果は金属イオン溶出によるものではないことがわかった。 別途行った走査電子顕微鏡観察の結果、ナノポーラス金表面上の大腸菌や表皮ブドウ球菌が大きく変形し、細胞膜が破れている様子を確認できた。大腸菌の試料については走査プローブ顕微鏡によるトポグラフィ観察も行い、菌の形状変化を定量的に把握した。すなわち、ナノポーラス金上の大腸菌は平滑な金上の大腸菌よりも大きな凹みを示した。 さらにナノポーラス金上の大腸菌について、繊毛をつかさどる遺伝子の発現解析をリアルタイムPCR解析により行った結果、ナノ凹凸を有する金上における大腸菌を調べた従来研究とは真逆の結果となった。このことから、ナノポーラス金の抗菌性機構が他のナノ材料にはない特異な現象に基づくものであることが示唆された。
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Research Products
(1 results)