2013 Fiscal Year Annual Research Report
著しい結晶異方性に誘導される自己組織化型・配向性ナノポーラス酸化物の創製
Project/Area Number |
24760574
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
仲村 龍介 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70396513)
|
Keywords | ナノポーラス材料 / アモルファス酸化物 / 結晶化 / 透過型電子顕微鏡 / 拡散測定 |
Research Abstract |
アモルファスTa2O5およびNb2O5薄膜を加熱結晶化させると,特定方向にナノ孔が配列するユニークな自己組織化挙動を示すことを申請者は発見した.本研究では,透過型電子顕微鏡による構造解析(平成24~25年度)と酸素の拡散係数(平成25年度)の測定を行い,静的および動的特性両面から,ボイド形成の基礎的メカニズムの解明を目指した. いずれの酸化物においても,結晶化によって一方向に配向・伸長したボイドの生成が観察された.アモルファスTa2O5およびNb2O5は,b軸がaおよびc軸に対してそれぞれ10および7倍ほどの長さをもつ斜方晶へ結晶化するという共通の特徴が見い出された.ボイドの成長方向は長軸のb軸に対して垂直の関係があり,結晶異方性とボイドの配向性に相関関係があることが明らかとなった.また,第3元素のWが導入された場合,伸長方向へのアスペクト比が高くなる特異な傾向が見られた.斜方晶の長周期構造に起因する衛星反射スポットの観察から,結晶構造の周期性が多様,すなわち,格子の柔軟性が高いことが,アスペクト比を高く維持したままボイド成長が起こるための必要条件であることが明らかとなった. 18O同位体をトレーサーとして,アモルファスTa2O5およびNb2O5薄膜中の酸素の拡散係数の測定を行った.Ta2O5およびNb2O5中の酸素拡散の活性化エネルギーはそれぞれ1.2および1.0 eV,前指数項もおよそ1.0×10-11 m2s-1と同等であり,両者の拡散機構は類似している.動径分布解析からTa2O5およびNb2O5における配位構造の多様性が観測された.短距離構造と拡散の前指数項に相関があることが示唆される結果が得られた. また,結晶化に向けたアモルファス構造の連続的変化を解析する手法として,電子照射による結晶化のその場観察動径分布解析を考案し構造の連続的変化の観測に成功した.
|