2013 Fiscal Year Annual Research Report
強化と弱化をもたらすラス組織に着目した高クロム系フェライト系耐熱鋼のクリープ機構
Project/Area Number |
24760576
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
光原 昌寿 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (10514218)
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Keywords | フェライト系耐熱鋼 / クリープ変形 / 強化機構 / ラスマルテンサイト / 転位 / 粒界上析出物 / 電子顕微鏡 / 結晶方位解析 |
Research Abstract |
本研究は、焼き戻しラスマルテンサイトを母相とする高Crフェライト系耐熱鋼において、ラス組織によるクリープ強化と弱化の素過程を微細組織解析により解明し、耐熱性向上に向けた組織設計指針を提示することを目的とした。 H24年度には、主に「1.試験材の作製」と「2.転位とラス境界の相互作用の解明」について研究活動を行い、変形中に運動する転位とラス境界の相互作用をモデル化することで、ラス境界による転位運動への抵抗力を見積もった。 H25年度には、主に「3.ラス組織の回復挙動の解明」と「4.ラス境界の役割の明確化と高強度化への指針提示」について研究を行った。電子顕微鏡観察の結果、ラスの回復には変形中の境界移動に加えて構成転位の放出による境界の消滅も関与していることを発見した。ラス境界による転位運動に対する抵抗力は、クリープ変形中に起こるラスの粗大化により徐々に低下する。このことが鋼のクリープ変形挙動全体を支配しており、ラスの熱的安定性の向上、すなわち回復の抑制がクリープ強度向上に極めて重要であると結論した。次に、ラスの回復抑制に有用であると考えられる境界・粒界上析出物についての組織解析に着手した。透過電子顕微鏡観察と結晶方位解析を組み合わせることで、マルテンサイト内に存在する4種類の粒界・境界(旧オーステナイト粒界・パケット境界・ブロック境界・ラス境界)にそれぞれ生成する析出物のサイズや析出密度を区別して調査した。その結果、サイズや析出密度は各粒界・境界によって明確に異なることを明らかにした。また、変形中の析出物の粗大化傾向とラスの粗大化傾向は良く一致し、析出物がラスの熱的安定性向上に重要な役割を持つことを確認した。一方で、ラス境界上の析出密度は他の粒界に比べて明らかに低く、ラス組織の回復と粒界上析出物の関係はさらに詳細な実験と考察が必要であるとの結論に至った。
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[Presentation] Interaction between Dislocations and Lath Boundaries during High Temperature Deformation in 9Cr Heat-Resistant Steel2014
Author(s)
Masatoshi Mitsuhara, Masaki Miake, Shigeto Yamasaki, Satoshi Hata, Hideharu Nakashima, Ninoru Nishida, Jun-ichi Kusumoto, Akihiro Kanaya
Organizer
TMS 2014, 143rd Annual Meeting & Exhibition
Place of Presentation
San Diego Convention Center, California, USA
Year and Date
20140216-20140220
Invited
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