2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760577
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鳴海 智博 東京理科大学, 理工学部, 助教 (10530892)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
超高速衝突によるフラグメンテーション現象の解明に向けた研究を継続中である. 材料破壊プロセスのひずみ速度依存性の研究はMottやGradyによってリングやシェルなどの単純形状が膨張する場合の式のみ提案されているが,その方針を基に任意形状に物体が超高速衝突する際のフラグメンテーション理論を新しく構築し,破片のサイズ分布や速度分布を決定する式を導出することを目的とている.ただし人工衛星のような複雑な形状および構造に関しては解析式を提案することは困難なため,衛星に使用されている材質の大まかな分類や,構造の単純化といった近似を施すことで導出を試みたが,必要パラメータが多大であるためまずは数値計算(SPH : Smoothed Particle Hydrodynamics)コードにより現象の解明を行なっている.これまでは計算コストの問題からSmoothed Particle Hydrodynamicsコードは単純な形状の衝突のみシミュレーションされてきたが,高速化のためにGPGPU(General Purpose Graphic Processing Unit)による並列コンピューティングを導入し,コードを記述している.また,スペースデブリ環境の予測シミュレーションにおいてもGPGPUを導入することで高速化を図っている.さらに衝突実験を行うための模擬衛星を製作中であり,超高速衝突実験を行うことのできる施設の選定を行なっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の所属機関の異動により実験施設の使用が困難となり,実験主体の研究からシミュレーション主体の研究へ移りつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
任意物体のフラグメンテーション現象をより詳細に行えるよう,単純な形状の場合の破片の分布式からより複雑な構造をしている物体の場合での分布の導出および検証や,スケーリングの可能性等の議論を行う.また,現在研究代表者が開発を続けているSPHコードに適切な材料モデルを組み込み, 実験値との比較・検証を行う. また,開発したスペースデブリ環境予測モデルに,新しく構築したフラグメンテーションモデルを組み込み,これまでに行ってきた計算結果との比較を行う.モデル比較のためにIADC(Inter-Agency Space Debris Coordination Committee)から提供されているスペースデブリ環境の初期値を用いて,各国のモデルの計算結果との比較も行う. 例えば九州大学の八坂哲雄特任教授および花田俊也准教授,また米国の破砕モデルおよび環境モデル(ORDEM,LEGEND)を開発しているNASAのJ.-C. Liou博士やPaula Krisko博士,ヨーロッパのモデル(MASTER)を開発しているESA/ESOCやBraunschweig大学のメンバー,および国内外の高速衝突現象を専門とする研究者のコミュティにおいて,フラグメンテーション理論および宇宙環境モデルに関する議論を行っていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験用消耗品費として250千円,ソフトウェアに150千円,国内調査研究旅費に50千円,国外調査研究旅費に150千円,国内成果発表旅費に50千円,国外成果発表旅費に360千円を想定している.
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