2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24760577
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鳴海 智博 東京理科大学, 理工学部, 助教 (10530892)
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Keywords | 超高速衝突 / エジェクタ / スペースデブリ |
Research Abstract |
これまで宇宙機や天体などを構成する特定の材料においてのみ行われてきた超高速衝突による破砕現象のより詳しい解明,およびそれを用いたスペースデブリ環境の正確な将来予測のため,SPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)コードおよび軌道計算コードを作成し,多数の粒子を扱えるようGPGPU(General-Purpose Computing on Graphics Processing Units)による並列計算を可能にした.特に,エジェクタと呼ばれる100μm程度の,超高速衝突により発生する2次デブリの指数関数的増加が近年懸念されているが,サイズが小さく個数が膨大なためこれまで計算機で扱うことが困難であった現象の解明が,これにより今後さらに進んでいくことが期待される.また複雑な構造物についても数値計算による実験との比較が可能となり,破砕現象がプロジェクタイルの衝突方向および速度と構体の内部質量分布に大きく依存することが分かった.これは,ファーストコンタクト直後の比較的早い段階で密度および質量が大きい物体に衝突したときに大規模なフラグメンテーションが発生し,生成されたダウンレンジエジェクタが拡散し他の構造物を破壊することに起因する. これらの現象は全てダウンレンジエジェクタおよびバックスキャッタードエジェクタ発生のカスケード現象によるものとモデル化することが可能であり,構造および構成材料のエジェクタモデルにより破片の分布を推定することができる.この成果をもとに,超高速衝突実験の準備を進めており,より詳細なパラメータ比較を行い,正確な宇宙環境の将来予測結果を出す予定である.
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