2013 Fiscal Year Annual Research Report
特有な集合組織の多結晶マグネシウム合金のき裂先端特異応力場での破壊機構の解明
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24760578
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
森田 繁樹 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00314089)
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Keywords | マグネシウム合金 / 変形双晶 / 集合組織 / 結晶粒径 / 疲労き裂 / 変形異方性 |
Research Abstract |
最終年度に実施した研究による主な成果は,以下の2点である。結晶粒径が約40μmであるAZ31マグネシウム合金圧延材の疲労き裂進展試験において,(1)応力比R=0.1では,初期き裂面が各結晶粒の底面に垂直な場合と比較して,初期き裂面が各結晶の底面に対して平行である場合に疲労き裂進展速度が高くなる。(2)初期き裂面が各結晶粒の底面に対して垂直な場合で,疲労き裂進展中に疲労き裂先端に圧縮応力が負荷される応力比R=-1での疲労き裂進展速度は,応力比R=0.1でのそれに比べ高くなる。一方,初期き裂面が各結晶粒の底面に対して平行である場合には疲労き裂進展速度に及ぼす応力比の影響は小さい。このような疲労き裂進展挙動は,疲労き裂先端で動的に形成される変形双晶の影響によるものであると考えられる。 また,研究期間全体を通じて実施した多結晶マグネシウム合金の疲労き裂進展挙動に及ぼすミクロ組織の影響に関する研究によって得られた知見を以下にまとめる。 1.疲労き裂進展速度は集合組織の影響を強く受ける。すなわち,初期き裂面が各結晶粒の底面に対して垂直な場合,疲労き裂は各結晶粒のc軸方向には進展し難く,a軸方向に進展し易い。また,初期き裂面が各結晶粒の底面に垂直な場合と比較して,初期き裂面が各結晶の底面に対して平行な場合に疲労き裂進展速度は高くなる。 2.応力比R=0.1では,結晶粒径の粗大化により疲労き裂進展経路に(10-12)変形双晶が形成される。また,結晶粒径の粗大化により疲労き裂進展速度は高くなる。 3.応力比R=0.1では,疲労き裂前方に予め形成されている(10-12)変形双晶は疲労き裂進展速度を加速することはない。また,疲労き裂は変形双晶の界面あるいはその近傍を選択的に進展することはない。一方で,応力比R=-1では,動的に形成される変形双晶の影響で疲労き裂進展速度は高くなる。
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Research Products
(8 results)