2012 Fiscal Year Research-status Report
インテリジェントバイオインターフェイスによる選択的細胞接着制御と細胞分離
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24760580
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
長瀬 健一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10439838)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 温度応答性 / インテリジェント界面 / 細胞分離 / ペプチド / 高分子ブラシ |
Research Abstract |
平成24年度は、REDV、VAPG等の細胞選択制ペプチドを導入するインテリジェント界面の設計に焦点を当てて研究をおこなった。温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)を、ガラス基板上に表面開始原子移動ラジカル重合(ATRP)により高密度に修飾し、細胞の接着・脱着に適した界面を設計した。この際の最適なPIPAAmの分子量は12800であり、PIPAAm修飾密度は0.36 chains/nm2であることがわかった。これらの条件を利用し、同様のインテリジェント界面に細胞選択制ペプチドを導入することで、目的の細胞のみを選択的に接着・脱着できる細胞分離用インテリジェント界面の設計が可能であると考える。 また、PIPAAmブラシに疎水性モノマーであるn-ブチルメタクリレート(BMA)を5mol%の仕込み比で共重合することで、細胞の接着性を向上させることが可能であることが確認されている。これにより、細胞認識性ペプチドが関与する接着力では不十分な場合は、疎水性モノマーの共重合により細胞、インテリジェント界面間の接着をより強固にすることで、細胞分離の際の細胞回収率の向上に寄与できると考える。また、同様にジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAAm)を共重合し、温度応答性高分子ブラシに正電荷を導入することで、細胞-インテリジェント界面間の静電的な相互作用を利用して接着を促進させる試みもおこなっている。これらも目的細胞との接着力促進に寄与するものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インテリジェント表面の設計にあたりPIPAAmの最適な修飾条件の検討に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度では、REDV、VAPGといった細胞認識性のペプチドをインテリジェント界面に導入し、血管内皮細胞、平滑筋細胞の選択的な接着を促す表面の設計にとりかかる。グリシンをスペーサーとしたそれぞれのペプチドをガラス基板上に修飾し、表面開始ATRPをおこなうことで、温度変化によりPIPAAmブラシが進展・収縮を起こすことで、ペプチドが遮蔽・露出をする界面を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度までに、必要な試薬や実験器具等を揃えてあるので、次年度は実験を進めていく中で必要となる消耗品を補充するために、研究費を使用する予定である。
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