2013 Fiscal Year Research-status Report
低磁場駆動するメタ磁性形状記憶合金の基礎研究と熱磁気モーターの試作
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24760583
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
伊東 航 仙台高等専門学校, マテリアル環境工学科, 准教授 (30559852)
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Keywords | メタ磁性形状記憶合金 / 組織制御 |
Research Abstract |
本課題の最大のテーマはNiMn基メタ磁性形状記憶合金において、低磁場での磁場誘起変態を発現する事である。しかし、メタ磁性形状記憶合金の実用化への障壁として加工性を改善することが必要不可欠である。今年度は、NiMnInおよびNiMnSn合金に粒界強化元素としてB(ホウ素)を添加し、その微細組織と機械的性質の関係性を調査した。 種々の組成のNiMnInBおよびNiMnSnBをアルゴン雰囲気中の高周波誘導溶解炉を用いて作製した。得られたインゴットを小片に切り出し、透明石英管中に真空封入し、所定の温度で溶体化熱処理を施し、水中に焼き入れて測定試料とした。特性評価として、光学顕微鏡観察、マルテンサイト変態温度測定、飽和磁化の測定、結晶構造同定を行った。 B添加量の増加に伴い、NiMnInBおよびNiMnSnBのどちらの合金においてもB化合物の析出量が比例関係で増加した。In系合金ではB化合物が均一に分散して析出したのに対し、Sn系合金では結晶粒界に沿って析出した。Bを添加していない3元合金では、多くのクラックや結晶粒界に沿った割れが生じていたが、B添加によりそれらが抑制され加工性が改善したことが明らかとなった。また、B添加によってマルテンサイト変態温度は増加した。これはB化合物が析出し、主相のIn濃度が減少したことに起因する。NiMnInB合金のマルテンサイト相の磁化は極めて小さく、B化合物の存在が磁場誘起変態を阻害しない事が予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は最も優れた磁場誘起変態挙動を示す合金を用い、様々な組織制御を施して延性および形状記憶効果の向上を図り、特にボロンやカーボンといった粒界強化に実績のある元素を添加し、その組織および延性、形状記憶特性を調査するという研究計画であった。 合金探索は思ったように進んでいないが、粒界強化元素を添加したNiMnInBおよびNiMnSnB合金を作製し、組織と延性について確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、加工性に優れるNiCoMnAl合金の低磁場駆動に向けて、研究を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度に購入希望の装置が高額であり、来年度予算だけでは購入が見込めなかったため。 合金試料を石英管に真空封入する際に必要不可欠である真空ポンプを購入予定である。 なお、消耗品として合金元素、溶解用坩堝、透明石英管を引き続き購入予定である。 研究成果の発表および最新の研究動向調査のため、日本金属学会秋期大会、日本物理学会秋期大会に参加予定である。
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