2013 Fiscal Year Research-status Report
両親媒性デンドリマー含有ヒドロゲルの構造と力学特性の相関関係の解明
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24760587
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業センター(利用研究促進部)) |
Principal Investigator |
岩瀬 裕希 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業, その他部局等, 研究員 (70391266)
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Keywords | 中性子小角散乱 / X線小角散乱 / 機能性高分子材料 / 両親媒性デンドリマー / ジェミニ型界面活性剤 / ヒドロゲル |
Research Abstract |
今年度は、昨年度の構造解析の結果を踏まえ、(単鎖型)両親媒性デンドリマーをさらに発展させたジェミニ型両親媒性デンドリマーの構造解析を中性子小角散乱(SANS)およびX線小角散乱測定(SAXS)の併用により行なった。ジェミニ型両親媒性デンドリマーは両親媒性デンドリマーを連結基で結んだ構造を有しており、機能性を向上させることが期待された。SANSとSAXSの併用による構造解析の結果、ジェミニ型両親媒性デンドリマーが水溶液中で形成するミセル構造は、世代1から5までにおいては、世代に依存しない結果が得られた。これは、昨年度行なった単鎖型の結果と同じであった。一方、単鎖型では、世代が大きくなるにつれて、数ミクロン程度の凝集体を形成するにもかかわらず、ジェミニ型にすることで、機能を担う凝集体形成を抑制することが示唆された。また、pH依存性について測定を行ない、単鎖型と比較した結果、ジェミニ型にすることで親水性頭部のデンドロンの構造変化、およびデンドロンに水和した水の吐出量を抑止することが明らかとなった。これは、材料設計を考えた場合、ジェミニ化することは、機能部位の安定性の向上と、目的分子の保持/担持性の向上が期待できると考えられる。以上の結果について、国際会議「International Conference on Neutron Scattering 2013 (ICNS2013)」にて発表を行なった。 SANS測定の当初の予定では、日本原子力研究開発機構所有のJRR-3に設置されたSANS-UとJ-PARCに設置されたTAIKANを併用することで、広い空間スケールの構造解析を目指したが、昨年同様にJRR-3の稼働の目処が立っていないことから、TAIKANでより低Qを計測することを目指すために、高分解能検出器の整備についても行なった。また、MLFの稼働が緊急停止したため、当初の予定したSANS実験の実施が困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に対して遅れている点は、利用を計画していた二台の中性子小角散乱装置(研究用原子炉JRR-3に設置されたSANS-U、およびJ-PARCに設置されたTAIKAN)の供用運転が停止したため、予定していた中性子小角散乱実験を全て行なうことが困難であったことによる。平成26年度は、計画をしていた一部の実験を、複数の放射光施設を利用したX線小角散乱測定およびX線超小角散乱測定による構造解析を中心に進めることで解決を、継続して試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度から継続して、単鎖型およびジェミニ型両親媒性デンドリマー水溶液含有ヒドロゲルの構造解析を進める。中性子小角散乱測定は、重水素化物を使用して作製したヒドロゲルについて実施する。 中性子小角散乱測定では、平成26年度もJRR-3の再稼働の目処が立っておらず、JRR-3に設置されている中性子小角散乱装置SANS-Uでの実験はほぼ不可能と想定している。そのため、SANS-Uで計測を予定していた低Q領域のデータについて、J-PARC/MLFに設置されている中性子小角散乱装置TAIKANで測定が可能となるように、高分解能検出器の整備を進めてきた。この検出器を用いて、低Q領域のデータの測定をTAIKANで試みる。 さらに、当初計画していなかった複数の放射光施設を利用したX線小角散乱測定、およびX線超小角散乱測定を実施する。 くわえて、これまでの成果を学会発表や論文発表というかたちで発信しながら、本研究の総括を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時の計画では、中性子小角散乱測定の際には重水素化ポリマーおよび重水素化溶媒を使用することを計画していた。しかしながら、平成25年度はJ-PARC/MLFの計画外の運転停止があったため、予定していた中性子小角散乱実験を全て行なうことができなかった。そのため、予定していた重水素化試料の購入を一部にとどめた。また、この測定の前に、予備実験を行なうことを計画していたが、予備実験を実施しなかったために、その出張旅費が未使用のままとなった。 昨年度の差額分は、そのまま中性子小角散乱測定の際に使用する重水素化ポリマーおよび重水素化溶媒に割り当てることを計画している。
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Research Products
(5 results)