2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24760590
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤井 啓道 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70560225)
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Keywords | 超音波接合 / アルミニウム合金 / ステンレス鋼 / 冷間圧延鋼 / 銅 / 再結晶 / せん断変形 / 塑性流動 |
Research Abstract |
工業製品の発展や環境問題への対応に伴い,多様な材料に対応した低環境負荷の革新的な接合技術が強く求められている.本研究では,これらの課題を克服できるポテンシャルを秘めた超音波接合に着目した.超音波接合では,プロセス中に表面凹凸の塑性変形,摩耗,塑性流動,変形熱・摩擦熱による再結晶など多くの物理現象が複雑に作用するため,接合メカニズムが十分に理解されず,これまで幅広い工業展開には至っていない.これらの物理現象を系統的に整理・理解することにより,超音波接合の学問体系を構築し,これまでの限界を超越した金属材料接合技術として定着させることを目的とした. 6061Al合金-304ステンレス鋼,6061Al合金-冷間圧延鋼,1050Al合金-銅の3種類の組み合わせで超音波接合を実施し,いずれの材料においても良好な接合部を得ることに成功した.得られた接合試料の接合強度をせん断引張試験により評価した.与えた接合エネルギーが増加するに従って接合強度は上昇し,接合エネルギーが一定の値以上になると破断箇所が接合界面から母材へと変化することが分かった.試料の超音波接合部を電子顕微鏡法により結晶学的に解析した結果,超音波振動によるせん断変形が接合部組織形成と接合特性に重要な役割を果たしていることが明らかになった.特に,接合強度が十分高く引張試験において母材破断をした試料においては,接合中に接合界面近傍において再結晶と原子の拡散が進行し,厚さ数十nm程度の金属間化合物相が形成されていることが明らかになった.これは,接合中に生じるせん断変形によって形成された高密度の転位領域に変形熱や摩擦熱が加わることに起因していることが示唆された.また,陽極酸化処理により厚さ5m程度の酸化皮膜を加えたAl合金試料を用いて同様の実験を実施し,超音波接合達成には表面皮膜の分断と接合界面近傍における材料の塑性流動が重要であることが明らかになった.
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