2012 Fiscal Year Research-status Report
可動双晶界面導入によるマグネシウム合金の高制振性と高強度を両立する技術の創製
Project/Area Number |
24760591
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 云平 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (80546862)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | マグネシウム / 双晶 / 塑性加工 / 制振性 |
Research Abstract |
本研究期間では高温、室温塑性加工で一般産業用AZ31マグネシウム合金と純マグネシウムに可動双晶の導入技術の開発を行った。加工再現試験機(Thermec-masterZ)により種々の条件で(温度、加工率:1%-20%;加工ひずみ速度:0.01-50 s^-1) 塑性加工を施し、変形双晶を導入する。純マグネシウムとAZ31合金において異なった条件の冷間加工後試料の微細組織特に双晶形態がひずみ速度、ひずみ量に強く依存していることが分かり、双晶変形挙動(双晶界面組織、形状、密度、分布など)の加工条件依存性の定量評価と各変形状態における双晶界面の状態の評価を行った。{10-12}双晶を導入するための最適加工ひずみは4-8%ぐらいになり、ひずみが多き過ぎると非底面すべりが増えることにより転位密度が増加し、{10-12}双晶が消え行く。また、圧縮中、マグネシウムのすべり系が少ないため、材料早期破壊が起きるため室温において{10-11}双晶の導入が困難である。種々の熱間条件において光学顕微鏡、EBSD等の手段によりAZ31マグネシウム合金の微細組織観察を行った。その結果、高温で冷間加工と同様な双晶密度が導入できることが分かった。熱間加工において高ひずみまで加工できるため、250℃ひずみ速度10s^-1,ひずみ0.3ぐらいで多量な{10-11}双晶の導入が実現できた。温度が高くなり、ひずみ速度が遅くなると非底面すべりが増える事で全ての双晶が形成しにくい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度において本研究は一般産業用AZ31マグネシウム合金に加工プロセスで可動双晶界面の導入による制振特性向上機構解明について、加工条件を変化させた系統的な評価を目指していた。冷間、熱間加工の種々な条件における微細組織を系統的な評価を行い、最適な双晶導入プロセスが得られた。然しながら、本研究における制振性を測定するサンプルの寸法が大きいため前述した加工再現試験機で実現できない、東北大学金属材料研究所にある300トンプレスで加工する必要があるが、311地震の影響で建物の破壊があり、去年から続いた工事は今年の8月中に終了予定であるため、その前に加工材の制振性測定ができない状態です。制振性測定は工事終了後に集中して行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度において前述した種々加工条件で得られた試料の制振性評価を系統的に行う。また、材料振動を模擬するための繰り返し変形過程における双晶界面の移動をその場観察による組織の評価、更には熱処理で加工組織における転位密度の調節により制振特性変化機構の解明を行う。以下の3点に注目して研究を行う。 ①繰り返し変形過程における双晶界面の移動挙動。②双晶導入後熱処理によるマグネシウム合金の制振特性変化機構。③双晶形成による結晶配向が及ぼす制振特性への影響。 内容:使用する素材は純マグネシウムと産業用AZ31合金である。繰り返し応力による双晶界面移動のその場観察は既存のFEM-EBSD装置に内蔵されている変形駆動装置によりその場観察を行う。観察ポイントは加工による双晶導入後のまま、負荷;除荷後と逆方向の負荷の条件下で観察を行う。これにより、マグネシウム合金の制振特性の向上のための双晶の役割についてより詳細に明らかにする。また、加工過程で双晶形成による結晶配向が及ぼす制振特性の方位依存性を明らかにする。これらにより双晶界面の移動による制振特性変化を基礎的に解明できる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の使用額は,当初計画していた加工後マグネシウム合金の制振性評価とそれに伴う結果発表を次年度に延期することによって生じたものであり、延期した制振性評価と結果発表に必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
|