2013 Fiscal Year Research-status Report
溶融静電紡糸におけるテーラーコーン内部での繊維素形成機構の解明
Project/Area Number |
24760596
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
島田 直樹 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10545007)
|
Keywords | ナノファイバー |
Research Abstract |
テーラーコーンからの微細繊維形成機構を解明するために、高分子ブレンド材料を紡糸試料として用いて、材料の物性因子が、繊維形成に及ぼす影響を検討した。具体的には、紡糸試料として汎用熱可塑性高分子であるエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)およびポリアリレートを使用した。PPSは乳鉢の使用により粉砕し、任意の粒径を持つ微粉末を得た。ポリアリレートはスギノマシン性乾式粉砕器の使用により粉砕し、フィブリル化した微粉末を得た。これらの微粉末を有機溶剤(イソプロパノール/水)に溶解したEVOHに投入し、任意のブレンド比を有するブレンドシートをキャスト法により作製し、そのシートから紡糸を行うことで、ブレンド構造が繊維形態に及ぼす影響を調べた。 EVOHとPPSとのブレンドシートから得られた繊維からEVOH成分のみをジメチルスルホキシドにより除去し、PPS成分のみを観察した。その結果、EVOHの含有量が小さい場合でも繊維径が非常に小さくなり、また、EVOH体積含有率の増加に伴いPPS繊維径がより減少する(EVOH体積含有率0vol%:平均繊維径5.2μm、25vol%:平均繊維径1.6μm、50vol%:平均繊維径1.2μm、70vol%:平均繊維径0.4μm、90vol%:平均繊維径0.2μm)ことが分かった。 EVOHとポリアリレートとのブレンドシートから得られた繊維は、ポリアリレート単一成分の高分子シートから得られた繊維(平均繊維径4.1μm)単体と比較して非常に細い繊維径を有している(平均繊維径1.5μm)ことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EVOHとエンプラからなる高分子ブレンド材料から繊維形成を行い、一成分の除去を行うことで、溶融静電紡糸による微細繊維形成が非常に困難なPPSから、平均繊維径0.2μm以下のナノファイバーを形成出来ることが明らかとなった。 EVOH体積含有率が小さな場合でも非常に細いエンプラ繊維が得られたことから、流動性は高いが静電的牽引力が作用しにくいエンプラでは、紡糸性の良い高分子と同時にレーザ溶融静電紡糸を行うことで、繊維の細径化が果たせることが明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
繊維の更なる細径化には、静電的牽引力を効果的に高分子シートに作用させる必要がある。予備実験により、電極と高分子シートの接触状態が静電的牽引力の作用に大きく影響を及ぼすことが分かったため、電圧印加部について改良を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
紡糸装置の改良の一部が、年度をまたぐこととなったため。 静電的牽引力の増加を行うために、紡糸装置の改良を行う必要がある。このために機械部品費として使用する。
|
Research Products
(2 results)