2012 Fiscal Year Research-status Report
大気圧非平衡プラズマ用いた高品質酸化亜鉛薄膜の低温高速形成法の開発
Project/Area Number |
24760597
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹中 弘祐 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (60432423)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 大気圧非平衡プラズマ / ミストCVD / 酸化亜鉛 |
Research Abstract |
本研究では、フレキシブルデバイスの高性能化・高機能化技術、また革新的なフレキシブルデバイス創製技術の実現に向けた、フレキシブルデバイス作製プロセスにブレークスルーをもたらす技術開発を念頭に、フレキシブルデバイスの実用化で必須である高品質酸化亜鉛薄膜の低温高速形成技術の開発を目標に、以下の研究を行った。まず、大気圧非平衡プラズマ支援による酸化亜鉛薄膜形成技術の開発を念頭に、材料供給のためのミストと大気圧非平衡プラズマとの相互作用を調べるために、大気圧非平衡プラズマを液体に照射させた際の放電特性を調べた。プラズマ・液体界面における発光測定では、OHラジカルやOラジカルの発光が確認された。この結果は、プラズマ照射による液体の分解により液体に起因した分解生成物(O、OH)が生成されることを示しており、酸化亜鉛形成に必須の酸化促進に有効な酸化剤をミストから供給可能であることを示唆している。 また、大気圧非平衡プラズマ支援による酸化亜鉛薄膜形成の基礎過程を調べるために、低圧プラズマによるプラズマ支援CVDを用いた酸化亜鉛薄膜形成を行った。その結果、プラズマへの酸素添加により基板温度200℃程度の低温で良好な結晶性を持つ酸化亜鉛薄膜の作製を実現することを明らかにした。また、製膜された酸化亜鉛薄膜の表面を走査型顕微鏡(SEM)により観察したところ、ミストに起因した半球状の形状をした表面構造が確認された。この結果は、酸化亜鉛材料として供給するミストのサイズ制御とプラズマ特性の最適化により、表面構造の制御が可能であることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は大気圧非平衡プラズマの放電基礎特性評価と、大気圧非平衡プラズマ支援による酸化亜鉛薄膜形成技術の開発を目標に研究を進めてきたが、大気圧非平衡プラズマの基礎特性評価ためのプラズマ源作成の設計が遅延しており、そのため、大気圧非平衡プラズマで反応を支援したミストCVDによる酸化亜鉛薄膜の形成技術の開発も、来年度にずれ込んでいる。まず現在所有の大気圧非平衡プラズマ源で、大気および液体のとの相互作用に関する研究を行い、酸化を促進するOHおよびOラジカルの多量生成が可能であることを見いだしており、新規大気圧非平衡プラズマ源開発のための予備的な知見を得られているので、来年度前半でプラズマ源作成を行い、基礎特性評価を行う。また、その遅延を回復する目的で、大気圧非平衡プラズマ支援による酸化亜鉛薄膜形成技術の開発の一環として、低圧プラズマを用いたプラズマ/ミスト相互作用の研究を進めており、低温での高結晶性の酸化亜鉛の作製と酸化亜鉛薄膜の表面形状の制御に関する知見を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた大気圧非平衡プラズマの特性の知見を生かし、大気非平衡プラズマCVDに適したプラズマ源の開発を早急に行う。これと平行して、本年度得られた低圧プラズマにおけるプラズマ/ミスト相互作用の結果を生かし、大気圧非平衡プラズマ支援による酸化亜鉛薄膜形成技術の開発を推進する。大気圧非平衡プラズマによる酸化亜鉛薄膜形成技術を基に、酸化亜鉛薄膜の高品質化を実現するため、大気圧非平衡プラズマに対する製膜前駆対の気相反応と酸化亜鉛薄膜の表面反応過程を調べ、酸化亜鉛薄膜形成機構を解明する。大気圧非平衡プラズマとストとの反応を質量分析、発光分光で解析し気相反応過程を調べる。また、気相反応生成物の薄膜形成における表面反応過程を明らかにする。 さらに、大気圧非平衡プラズマで生成された高密度・高活性な特性を生かした低温での結晶制御技術の確立を目指し、表面反応過程から大気圧非平衡プラズマ照射による表面反応による生成熱の見積り、結晶性の制御する因子を同定し低温での酸化亜鉛薄膜の結晶性制御を実現する。大気圧非平衡プラズマによる酸化亜鉛薄膜形成技術と酸化亜鉛薄膜の低温での結晶性制御を駆使し、酸化亜鉛薄膜の物性制御した酸化亜鉛薄膜の形成を行い、高品質透明酸化物デバイスとしての機能性の診断を行う。本年度得られた、表面構造制御技術を確立し太陽電池用の高品質透明導電膜の応用を目指して酸化亜鉛薄膜を形成し、太陽電池用高品質透明導電膜しての機能性を調べる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本申請における設備備品費は、研究計画・方法で述べた実験に用いる紫外領域の発光分光分析が必要となったため、紫外線の測定が可能なマルチチャンネル分光器、および、放電電圧・電流波形等の測定に必要なデジタルフォスファーオシロスコープの購入に要する費用に充てる。消耗品費は、プラズマ源を形成するための特注の真空部品や、酸化物透明半導体製膜のための使用する製膜用材料や薬品、および、高純度ガスの購入に要する費用に充てる。 旅費等の細目に計上した経費は、本研究の成果を論文ならびに国内外の会議において発表するため要する投稿料、旅費に充てる。
|