2012 Fiscal Year Research-status Report
液中アークを用いたアモルファス合金ナノ粒子の合成と触媒への応用
Project/Area Number |
24760598
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺島 岳史 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (10402992)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 金属ガラス / アモルファス合金 / 微粒子 / アーク / 静電蓄勢電源 |
Research Abstract |
本年度は機器のセットアップおよび微粒子の作製と評価を行った。原料となるPd50Cu27Ni9P14合金はCu3P、Ni2P、Pdをアーク溶解炉で合金化した後に、B2O3フラックスで精製処理をして用意した。その後十分に大きな銅の鋳型で鋳造(液体急冷)して金属ガラスの棒材(電極)を作製した。Pd50Cu27Ni9P14アモルファス合金電極(上部φ1mm、下部φ3mm)を対向させ、これらを純水に浸して一定量のArガスを供給しながらアーク放電させた。アーク熱で気化したPd50Cu27Ni9P14蒸気は瞬時に気泡を生じて周囲の純水を押しのけるが、その直後に周囲の気/液界面で急冷されてアモルファス合金微粒子を形成する。放電電流は静電蓄勢式電源(日本アビオニクス, NRW-DC150)から供給した。コンデンサに充電した電荷を瞬時に放電させることで効率よく局所的に合金を蒸発気化させ、また電極の熱損傷を防ぐことができた。またArガスを供給することでアークは純水中でも安定に生成した。Pd50Cu27Ni9P14金属ガラスを電極として用いて実際に粒子合成を試みたところ、おおよそミクロンサイズ(約20μm径)とナノサイズ(数nm径)の2種類の混合粒子が得られた。ナノ粒子の組成は母合金と比較してPdが10%程度減少していた。一方でミクロン粒子については組成のズレがほとんど観察されなかったことから気化せずに溶融した合金が放電や気泡発生の衝撃で飛散して生成したと考えられる。X線回折および透過電子顕微鏡観察の結果から得られた粒子は一部結晶化していたものの概ねアモルファスであることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は全体計画を3段階(1,微粒子合成、2,表面改質処理、3,触媒活性評価)に分けて実施している。本年度は微粒子合成に重点を置いて研究を行った。 水中で効率よくアークを発生させるための電極構造および電源の選定について、その最適化に時間を要した。現状では本合成法によって得られる微粒子の収量は少ないが、実際にアモルファスの合金微粒子が得られていることから一定の成果は得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
触媒活性試験を行うには一定量以上のアモルファス合金微粒子を確保する必要がある。今後も実験条件の最適化を継続して収量の増加を目指す。また液体媒質として純水以外にも液体窒素、液体ヘリウムをそれぞれ用いてアモルファス合金微粒子の合成を試みる。温度、沸点、熱伝導率、反応性などが全く異なる液体媒質を試すことで気泡の生じ方や液体媒質との反応が、収量や微粒子の構造に与える影響を材料学的観点から考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
微粒子の酸化を防ぐために真空対応グローブボックスの導入を検討する。その他に材料費、成果発表、評価装置の消耗品などに使用する。
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Research Products
(2 results)