2013 Fiscal Year Research-status Report
摩擦プロセスと微小領域強度試験法を併用した異種金属接合の新規界面構造制御法の確立
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24760599
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小椋 智 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90505984)
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Keywords | 接合・溶接 / 異種金属接合 |
Research Abstract |
本研究では,摩擦プロセスと微小領域強度試験法を併用した,酸化皮膜を有する異種金属接合の新しい界面構造制御法を確立することを目的としている.そのためには,摩擦接合過程における継手強度に著しく影響を及ぼす界面反応層の形成・成長挙動の解明すると共に,その局所的な継手特性評価と変形破壊挙動を解明し,接合部全体において界面強度が母材強度を上回る高信頼性異材金属接合プロセスを構築し,酸化皮膜を有する異種金属接合における摩擦プロセスによる統一した界面制御手法を提案することが必要である.そのため,平成25年度では,昨年度に続き, (1)微小領域強度試験法による界面微小領域における継手特性評価と変形破壊挙動の解明,(2)摩擦接合過程における界面反応層の形成・成長挙動の解明とその物性値評価 を行い,(1),(2)ともに,手法の確立を図った.さらに (3)界面強度が母材強度を上回る界面構造制御法を提示 を行った。そして,アルミニウム/鋼摩擦攪拌接合材を用いて接合後に適切な熱処理を行うことで,界面強度を上げ,母材破断を有する接合材の界面構造の指針を得た.さらに,継手の変形挙動をその場観察したものを最適に画像解析が行える装置を購入し,接合界面微小領域部の変形挙動を詳細に解析することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では3年間の研究期間で以下に示す研究内容を実施することを目標としている. (1)微小領域強度試験法による界面微小領域における継手特性評価と変形破壊挙動の解明 (2)摩擦接合過程における界面反応層の形成・成長挙動の解明とその物性値評価 (3)界面強度が母材強度を上回る界面構造制御法を提示ならびに酸化皮膜を有する異種金属接合の統一的な界面組織制御手法の提案 本研究は摩擦プロセスと微小領域強度試験法の併用によって初めて得られる自然酸化皮膜を有する異種金属接合の界面構造制御法の確立である. 24年度でその手法の確立が達成できたことを受け,25年度ではアルミニウム/鋼摩擦攪拌接合材を用いて,継手に適切な熱処理を施すことで,界面強度を上げ,母材破断を有する接合材の界面構造の指針を得ることができたのは当初の計画通りであると言える.また,25年度にその場観察用画像解析装置を購入し,接合界面微小領域部の変形挙動を詳細に動的な解析する手法を確立できた.そのため,作製継手の破断に至るまでの詳細な変形挙動解析に関して,次年度の研究に大きく展開できるものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究成果を踏まえて,26年度では引き続き下記の研究を行う.(1)微小領域強度試験法による界面微小領域における継手特性評価と変形破壊挙動の解明,(2)摩擦接合過程における界面反応層の形成・成長挙動の解明とその物性値評価,(3)界面強度が母材強度を上回る界面構造制御法を提示ならびに酸化皮膜を有する異種金属接合の統一的な界面組織制御手法の提案 (1),(2)および(3)の一部に関しては25年度までにある程度確立している.そこで26年度では確立した界面組織制御指針より,摩擦プロセスを用いた自然酸化皮膜を有する異種金属接合における統一的な界面制御手法の提案するとともにその実用化を図るために,以下の観点から検討を行う. ①界面強度が母材強度を上回る界面構造制御法を提示,(1)および(2)の手法を適用し,摩擦接合における統一的な界面制御法を提案する.特に,得られた界面での原子の拡散挙動ならびに界面反応層形成に及ぼす材料組成の影響および接合パラメータの知見を基に,界面組織制御に最適な元素種・接合条件を検討し,界面全体の変形能を高め,界面強度が母材強度を上回る継手の高強度化を図る. ②酸化皮膜を有する異種金属接合の統一的な界面組織制御手法の提案,①で提案された界面制御手法を用いて,輸送用車体接合への需要が非常に高いが,接合性の難しさから実用化には至っていないアルミニウム合金/マグネシウム接合評価も実施する.この系で本研究で提案される接合手法の適用を図り,酸化皮膜を有する異種金属接合の統一的な界面構造制御手法を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なった.これは24年度に予定していた微小領域強度試験その場観察用マイクロスコープをとりやめたため,24年度の研究費に未使用額が生じたためであり,25年度はほぼ計画通りな経費運用を実施している. 26年度は最終年度であるため,研究消耗品に加えて,研究成果の発表ならびに論文投稿に必要な経費として予算執行する予定である.
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