2012 Fiscal Year Research-status Report
その場観察法とシミュレーションの併用による溶接凝固解析と割れ発生防止技術の開発
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24760601
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
門井 浩太 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40454029)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 溶接・接合 / 凝固 / 高温割れ / その場観察 |
Research Abstract |
本年度は,オーステナイト単相凝固するSUS310S鋼を用いて,凝固割れ感受性に対する溶接速度の影響を調査した.割れ発生ひずみの計測は,その場観察を併用した拘束緩和型U型高温割れ試験により実施した.さらに,凝固現象を詳細に評価するため,高倍率その場観察を行った. 溶接熱源にレーザを用い,溶接速度を0.4~1.6m/minと変化させて拘束緩和型U型高温割れ試験を実施した.高速ビデオカメラを用いたその場観察法および浸漬型光ファイバ放射温度計を適用することで,レーザ溶接の高速条件下においても,凝固割れ発生時のひずみおよび温度を高精度かつ定量的に測定することができ,高延性曲線が取得できた.凝固割れ発生時のひずみ値は,溶接速度の増大とともに減少していいたため,高速溶接では凝固割れ感受性が増大すると考えられる. 高倍率その場観察を用いて,凝固割れ発生箇所や溶融池後端部の固液界面付近の観察したところ,凝固割れは,溶融池後端部で溶融池が長く伸びた部分で発生し,その長さは,溶接速度が速いほど長くなっていた.また,溶融池後端部は,溶融池の両端から溶接線垂直方向に成長したデンドライトが会合,架橋されることで凝固が進行していたが,架橋後も溶接線上(溶接ビード中央部)に融液が残留することが明らかとなった.デンドライトの生成形態は,溶接速度が速いほど,微細かつ溶接線垂直方向に成長するため,固相が架橋した後に融液がフィルム状に残留しやすくなり,凝固割れ感受性が高まることが示唆された. 平成25年度は,平成24年度の実験で用いた条件で,凝固解析計算を実施し,これまでに得られた組織や高倍率その場観察を基に解析計算方法を検証,確立していく.また,確立した解析計算を用いて融液の残留形態や凝固現象に対する溶接条件や化学組成の影響を調査していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,レーザ溶接と拘束緩和型U型高温割れ試験を用い,凝固割れ発生ひずみをその場観察により高精度かつ定量的に測定し,種々の溶接条件下での高温延性曲線を導出できた.また,組織解析や高倍率その場観察を実施することで,凝固割れ感受性と組織形態(融液の残留形態)の関係を評価できた.以上より,当初の予定を概ね達成できていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,主として熱力学データベースを用いた凝固形態予測のための解析計算を実施する予定である.本年度の実験で採用した条件で,凝固解析計算を実施し,これまでに得られた組織や高倍率その場観察を基に解析計算方法を検証,確立していく.また,確立した解析計算を用いて融液の残留形態や凝固現象に対する溶接条件や化学組成の影響を,実験および解析計算の両側面から評価することで,凝固割れ発生予測手法を検討していく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高額物品は熱力学計算用データベースを購入予定であり,その他の物品費は試験片の購入・加工等に使用予定である. また,研究成果発表及び情報収集のための旅費,論文投稿料のためのその他経費を使用予定である.
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Research Products
(3 results)