2013 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体反応場における有機金属化合物の分解反応解析と薄膜堆積プロセスへの応用
Project/Area Number |
24760602
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
内田 寛 上智大学, 理工学部, 准教授 (60327880)
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Keywords | 材料加工・処理 / 薄膜プロセス / 超臨界流体 / 二酸化炭素 / 無機材料 |
Research Abstract |
本年度活動においては以下3項目の研究課題に着手し、幾つかの知見を得ることができたので報告する。 (1) 有機金属錯体の分解→金属酸化物形成反応の解析: 昨年度に引き続き、超臨界二酸化炭素(scCO2)反応場中における有機金属化合物の分解・重縮合反応をモニタリングすることで無機化合物(金属酸化物)生成の機構を調査した。本年度の研究においては主として、酸化剤や触媒等の添加による反応の促進効果を評価対象として調査を実施した。その結果、過酸化水素水や酸素ガスなどの酸化剤を反応系に添加することにより金属アルコキシドを始めとする有機金属の分解反応が促進されることが明確化された。 (2) 有機金属錯体の溶解挙動の解析: 同じく昨年度に引き続き、scCO2反応場における有機金属化合物の溶解・分散挙動を調査した。その結果、scCO2に対する化合物の溶解性は配位子(特にβ-ジケトン配位子)数に依存することが分かった。しかしながら、溶解性の向上は金属酸化物形成反応の進行とは直接的に関連せず、薄膜材料堆積のためにはそれらを担保するための官能基(アルコキシド等)の導入が必須であることもあわせて判明した。 (3) 無機材料合成に適した有機金属化合物の設計と実証: これまでの課題進行により得られた知見に基づいた無機材料薄膜の堆積実験を実施し、合成物の材料物性を評価検証した。Si、Ti、Zrなどを中心元素とした金属アルコキシド(あるいはアルコキシド/β-ジケトン複合錯体)を原料、過酸化水素水を添加剤としたscCO2反応場中での材料堆積実験の結果、各種電極付シリコンウェハ(Al/Si, Pt/Si等)上に100~300℃の反応温度で金属酸化物薄膜(SiO2, TiO2, ZrO2など)を堆積することに成功した。あわせてそれらの試料に対する特性評価を実施し、各種金属酸化物に相当する誘電特性の発現を確認した。
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