2012 Fiscal Year Research-status Report
放射光X線を用いた溶接時の低温変態溶接金属の応力と固相変態のその場測定
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24760606
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
張 朔源 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (00613184)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 二次元検出器 / 応力 / その場測定 / 溶接 / 高エネルギー放射光X線 |
Research Abstract |
本研究では、大型放射光施設SPring-8の高輝度X 線により、微視的応力分布、ひずみ,集合組織,変態などの結晶状態に起因する物理量をその場測定できるシステムを世界で初めて開発し、本システムを低温変態溶接金属を用いた連続溶接時に適用することにより、低温変態溶接金属中の経時変化に伴う応力と組織との関係を明らかにすることを目的とする。今年度は以下のことを明らかとした。 1、二次元検出器走査方式による放射光X線応力測定システムを構築し、その評価を行った。構築したシステムにより、組織状態および応力を迅速測定することが可能となった。また、同システムをショットピーニング面の応力測定に適用し、複数回折面の情報を利用することで、応力の深さ分布を測定できることを示した。 2、ビード溶接の二方向応力が測定できるTIG溶接システムを開発し、二次元検出器システムと組み合わせて、スポット溶接直後連続冷却過程、フェライト相の格子定数、および応力の時間変化を0.1秒の高時間分解能で取得することに成功した。残留応力は室温よりも十分高い温度で形成されるのではないかという可能性を示唆する結果が得られた。 今後は、開発した溶接時応力その場測定システムを、溶接残留応力発生メカニズムの検証、新規溶接材料開発など、基盤から産業利用(応用)に至る溶接のパイオニアとして成長するに期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発した二次元検出器走査システムより応力算出手法の検証を行った。また、TIG溶接システムを開発し、二次元検出器システムと組み合わせて、高時間分解能(0.1秒)で溶接時応力の時間変化をその場測定することに成功した。これらは当初の計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1、低温変態マルテンサイト溶接金属の応力と相変態の相互作用のメカニズムを明らかにするために、溶接時その場測定実験を行い、応力変形と変態挙動の時間変化を測定する。 2、溶接時温度と時間の関係を明らかにすれば、冶金学的に応力形成と変態挙動の温度変化を明確にできる。そのために、溶接時温度場の時間変化を実測する予定がある。 3、溶接材料の高温物性が溶接時加熱・冷却により、変化することは分かっている。定量的に応力変形と変態挙動の温度変化を明らかにするために、溶接材料の高温物性を既存の高温負荷炉より、その場測定する。 4、その場測定実験で得られた結果を解析し、結晶状態(応力、相率などの時間変化)のデーターベース化を行う。さらに、応力変形と変態挙動相互作用メカニズムを明らかにし、溶接材料の残留応力の予測及び評価を提案する。これらの結果をまとめ、成果発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
溶接時応力その場測定システムを改善するために、独自利用できるステッピングモータコントローラ(500千円)を購入する予定である。低温変態マルテンサイト溶接金属の試験片(300千円)を加工する必要がある。研究成果を発表するため旅費(200千円)と参加費(100千円)が必要である。
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