2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規液相成長法による単結晶窒化アルミニウムの作製と成長機構の解明
Project/Area Number |
24760611
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安達 正芳 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90598913)
|
Keywords | 窒化アルミニウム / 液相成長 |
Research Abstract |
平成25年度,液相成長中にフラックスへ供給する窒素ガス中の酸素分圧を制御した実験を実施し,その結果,10の-1乗Paの酸素分圧のガスを供給することでAlNが成長するが,10の-12乗Pa以下の酸素分圧のガスを供給するとAlNが成長しないことがわかった.一方,これまでの筆者らの研究において,テンプレートとして用いる窒化サファイア層はN極性を有するのに対し,その上に液相エピタキシャル成長した層ではAl極性を有し,2層の界面で極性反転していることがわかった.平成26年度は,これらの結果を元に,結晶成長メカニズムについて考察した.N極性のAlNはAl極性のAlNに比べ,化学的に不安定であることが知られている.低い酸素分圧のガスを供給すると,化学的に不安定なN極性AlNがフラックスに接し,メルトバックしてしまう.一方,高い酸素分圧のガスを供給すると,N極性AlNの表面に酸素原子が取り込まれ,酸素原子を中心に対称な八面体構造を作るため,極性がリセットし,その後化学的に安定なAl極性のAlNが成長する. また,平成26年度は,窒化したa面サファイア基板を用い,液相成長を行なった.平成25年度までの研究ではc面サファイアを用いていたが,a面サファイアを用いることで熱処理等のプロセスを踏まなくとも,回転ドメインのない単結晶が得られると期待できる.その結果,成長したAlNの結晶配向性の指標となるX線ロッキングカーブの半値幅は(0002)および(10-12)に対してそれぞれ90,390arcsecであり,c面サファイア上のAlNよりも高い結晶配向性を示すことがわかった.サファイア基板上のAlNとしては世界最高水準である.また,TEM観察により,成長したAlNの転位解析を行った.その結果,主な転位種は刃状転位であり,転位の起源は,サファイアと窒化サファイア層の界面のミスフィットであることがわかった.
|