2012 Fiscal Year Research-status Report
水素吸蔵合金のマイクロ構造変化のオンサイト可視化および容器変形現象の解明
Project/Area Number |
24760619
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 泰洋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50621033)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 水素吸蔵合金 / マイクロX線CT撮影 / La-Ni / Ti-Fe / 微粉化 |
Research Abstract |
水素吸蔵合金は水素の貯蔵媒体として期待されるが,その実用化の際に問題となるのは容器の偏析による破損および水素漏れである.本研究では,水素の吸放出にともない水素吸蔵合金が容器内で偏析することを可視化し,微粉化モデルを提案した.また,CT撮影用容器の内径はわずか1 mmであり,実際に使用する場合は1 m規模に及ぶため,スケールアップするにはより大きな系の知見が必要である.そこで,容器特性の把握を実施するとともに実用的なレアアースを用いない水素吸蔵合金の探索を実施した. 1.水素吸蔵合金の微粉化モデルの提案 充填層内における水素吸蔵合金の偏析の挙動を詳細に把握するため行ったマイクロX線CT像から物理的見地および化学的見地から微粉化が進行するモデルを構築した.本モデルでは,局所的に微粉化した合金による接触点が増加し,接触点における摩擦により酸化被膜の剥離が起こり,微粉化が進行するとともに,その接触点の増加を繰り返しながら微粉化が進行することを提案した. 2.スケールアップにともなう容器特性の把握 マクロな水素吸蔵合金の充填層の挙動を把握するために容器にひずみゲージを取りつけ水素の吸放出にともない容器へ発現する応力とその際の充填層の充填状態の定量化を実施した.その結果,水素吸放出の繰り返しによって,底部に合金粒子が集中し充填率が増大することを明らかにし,特に底部に強い応力が発現し,塑性域に達するほど容器が変形することを定量的に示した. 3.水素吸蔵合金の探索 これまで用いられてきたLa-Ni系合金はレアアースを使用するものであり,研究協力者である高砂熱学工業川上氏との協議によりレアアースを用いない合金としてTi-Fe系合金の有益性について検討し,本研究で進めるべき対象をTi-Fe系に決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初見込んでいたCT撮影装置が島津製作所より島津テクノリサーチへ移管にともない,撮影費用が高額になったことが原因で,交付申請書に記載したとおりスケールアップにともなう容器特性の把握を行うとともに,平成25年度に実施予定だった水素吸蔵合金の探索を先行して行い,Ti-Fe系合金に絞ることにより測定する目処がついたため.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主要部分は,マイクロX線CT撮影を行うものであるが,当該装置は島津製作所製マイクロX線CT撮影装置によってのみ撮影できるものである.当該装置は非常に高額であるため,購入することはできず,当初共同研究の形で実施する予定であった.しかしながら,当該装置が子会社へ移管されたことにより,高額な借用費用が必要となったため,当初申請書で見込んでいたとおり,調整時間を設け,その期間にレアアースを用いない実用的な水素吸蔵合金を探索した.その結果,有望なTi-Fe系合金が得られたため,今後はこれまでハンドリングした経験のないTi-Fe系合金をハンドリングし,マイクロX線CT撮影を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に使用予定であったマイクロX線CT撮影費用およびその際に使用する可視化のためパソコンに使用する.また,可視化の際に必要となる画像解析の定量化ソフトウェア開発のための旅費などを計上する.
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