2012 Fiscal Year Research-status Report
エタノール選択透過用多孔性配位高分子ZIF-8膜の開発
Project/Area Number |
24760620
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮本 学 岐阜大学, 工学部, 助教 (60538180)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 浸透気化 / ZIF-8 / エタノール |
Research Abstract |
管状多孔質アルミナ支持体上へのZIF-8膜の製膜条件について検討した。ZIF-8膜の製膜は,アルミナ支持体へ種結晶を塗布し,その後,ソルボサーマル条件下(メタノール溶媒)で種結晶の二次成長させる手法を採用した。種結晶塗布条件,ソルボサーマル合成温度,合成時間,合成溶液組成について検討した結果,膜厚10~20μmのZIF-8膜の形成を確認した。単成分ガス透過試験(He,N2,Ar)により膜の緻密性を評価したところ,本ZIF-8膜のガス透過機構はクヌーセン拡散支配であることがわかった。。これはZIF-8の細孔径を考慮すると完全な緻密膜ではなく,数ナノメートル程度の微細な欠陥(粒界やピンホールなど)が存在していることを示唆している。また,同様の条件で作製したZIF-8膜を用いて水/エタノール浸透気化実験で膜性能を評価したところ,水:エタノール=50:50の条件において,水を選択的に透過する結果となった。水,エタノールそれぞれの単成分蒸気吸着の結果からはエタノールが選択的に透過することが予想されたが,本結果はこれに反するものであった。この理由としては,ZIF-8の細孔開口部に存在する2-メチルイミダゾールの配位状態(メチル基と細孔開口部の位置関係)が大きく影響していることが予想される。一方で,先に述べた微小な欠陥に起因する可能性も否定できない。 製膜時の環境負荷低減を考慮し,水溶媒を用いた製膜法について検討した。製膜手順はメタノール溶媒と同様とし,種結晶担持条件,二次成長時の水熱合成条件(温度,時間)について検討した。SEM観察の結果,ほぼ均一なZIF-8膜の形成が確認できたが,一方で微細なクラックも存在していた。今後,膜性能を評価し,製膜条件へのフィードバックが必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜合成法の確立については概ね順調に進んでいる。ただし,微小な欠陥の存在が確認されていることから,現状の膜合成法については改善の余地がある。膜厚については,目標とした10μm以下の膜厚を達成できた。膜性能評価についてはガス透過試験による一次評価,水/エタノール浸透気化試験ともに実施し,予想に反した興味深い結果が得られている。本件については,より詳細な検討が必要である。膜合成条件が膜性能に与える影響については,十分な評価ができたとは言い難いため,今後も継続した評価が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
膜のさらなる緻密化が必要であるため,膜合成条件について引き続き検討を続ける。特に,種結晶層の状態が膜欠陥の生成に影響している可能性があることから,種結晶の担持状態と膜性能の関係について評価する。具体的には,種結晶を多孔質支持体細孔内に担持し,それを成長させZIF-8/支持体の複合層を形成させることにより,欠陥のない緻密な膜を作製することを目指す。 また,浸透気化試験結果より,ZIF-8膜は水選択性を示した原因について調査する。具体的には,欠陥のない膜による浸透気化性能評価および,ZIF-8結晶を用いた二成分吸着試験を実施し,ZIF-8膜の浸透気化特性に関する知見を得ることとする。また,浸透気化試験条件(試験温度,溶液組成)が膜性能に及ぼす影響についても引き続き評価する。 上記課題が達成できた後,長期浸透気化試験により膜の耐久性について評価する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金は当該年度における国際会議への参加を見合わせたために発生した。 次年度の研究費は主に消耗品費として使用する。膜合成に必要な試薬類,多孔質支持体や,浸透気化試験装置の拡充に必要なガラス器具,バルブおよび配管部品,一次評価のガス透過試験用の試験ガスなどを主な用途として計画している。 また,成果報告のため6月に韓国で開催される6th International Zeolite Membrane Meeting (IZMM2013)への旅費および学会発表などの国内旅費への使用を計画している。
|