2013 Fiscal Year Research-status Report
水存在下で機能する固体ルイス酸触媒を用いた糖類からの必須化学資源の合成
Project/Area Number |
24760636
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中島 清隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (90451997)
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Keywords | バイオマス変換 |
Research Abstract |
①複合酸化物(MoOx/ZrO2・WOx/ZrO2・MoOx/TiO2・WOx/TiO2)の構造評価と触媒特性について 酸化ジルコニアまたは酸化チタンにモリブデン,タングステンなどの6族遷移金属を含浸法によって固定した後に500-600 ℃で焼成することにより,ブレンステッド酸およびルイス酸を併せ持つ複合酸化物触媒(MoOx/ZrO2・WOx/ZrO2・MoOx/TiO2・WOx/TiO2)を調製した.この複合酸化物は電気陰性度の差が大きな異種金属種間の酸素原子が分極することによってプロトンが生成することが知られており,担体(ZrO2,TiO2)由来の水中機能ルイス酸とブレンステッド酸を併せ持った固体酸となった.この複合酸化物触媒は水溶液内で1,3-DHAから80-90%の収率で乳酸を合成出来ることを見出した.これまでの高選択性発現はルイス酸サイト周辺へのリン酸導入によるルイス酸自体の反応選択性を制御によるものであるが,WOx/ZrO2の高活性は適切な量・強度のブレンステッド酸・ルイス酸を固体表面に設計したことにより,2つの異なる酸触媒素反応(脱水反応,ヒドリド移動反応)にそれぞれの活性サイトが有効に機能したためである. ②シリカ担持チタニア触媒の調製と水中ルイス酸特性 反応性の低い安定な水溶性チタン錯体を用いて高表面積なシリカ担体(メソポーラスシリカ)にチタン種を分散担持し,それを空気中焼成する事によってチタン担持シリカ触媒を調製した.導入したチタン種は一部が4配位構造となりルイス酸として機能することを確認した.この触媒はピルブアルデヒドのヒドリド移動反応およびファインケミカル合成などで重要な有機合成反応である向山アルドール反応に高活性であるが,チタン表面のルイス酸の触媒作用とは大きく異なることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は前年度に検討した成果により対象となる複合酸化物ルイス酸酸触媒の選定がスムーズに進み、触媒合成・構造解析・触媒作用の評価を並行してスムーズに進メルコとができた。また、高表面積担体であるメソポーラスシリカ表面にルイス酸性質をもつ遷移金属サイトの導入および触媒作用についても検討することができた。これは当初の計画よりも一歩踏み込んだものとなっている。前年度までに触媒合成法・活性評価法を確立できたことにより、予想よりも早く研究を推進できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規な固体ルイス酸触媒の創生は本プロジェクトを推進する中で中心的な役割であり,今後も単純酸化物および複合酸化物触媒を中心とした触媒合成および酸性質評価を進める。シリカ表面に導入した配位不飽和チタン種は,従来のバルク触媒表面のルイス酸サイトとは異なる触媒作用をしめすことが明らかになった。平成26年度は本プロジェクトの最終年度であるため,シリカ担持触媒の遷移金属種の種類を拡張してより体系的な検討を進め,最終的には本年度中の論文発表を目指す.
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