2014 Fiscal Year Annual Research Report
水存在下で機能する固体ルイス酸触媒を用いた糖類からの必須化学資源の合成
Project/Area Number |
24760636
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中島 清隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (90451997)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマス変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
水溶液内における糖変換反応に有用な固体ルイス酸触媒の研究を進めてきた.4,5族遷移金属酸化物である酸化チタン,酸化ジルコニア,酸化ニオブ,酸化タンタル表面に形成された配位欠損サイトが水中でもルイス酸として機能すること,これらの固体触媒がグルコースからの5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)合成だけではなく,キシロースからのフルフラール合成やトリオース(3炭糖)からの乳酸合成を進行させることを見出した.糖類は反応性の高いカルボニル炭素んでいるため,多様で複雑な副反応が併発する.目的生成生物の収率を向上させるため,主な副反応である分子間縮合反応による水溶性高分子体の生成が触媒表面へのリン酸部位の高密度固定によって大幅に低減できることを発見した. 固体表面に形成された水中で機能する酸触媒活性サイトの密度・反応性については,塩基性プローブ分子をもちいた赤外分光分析によって精密に評価する方法を確立した.閉鎖循環システムを利用した吸着実験により,固体表面に多量の吸着水が存在する水和試料に対する塩基性プローブ分子(ピリジンや一酸化炭素)の吸着相互作用を観察することによって,固体酸化物に由来する配位不飽和サイトが水中で機能する直接的証拠を得た. プロジェクト最終年度では,グルコースからのHMF合成に高活性を示すリン酸固定酸化チタン触媒に焦点を絞り,その反応メカニズム解析に取り組んだ.酸触媒によるグルコースからのHMF合成の代表的な反応メカニズムは,グルコースからフルクトースへのヒドリド移動とフルクトースの脱水反応で構成される逐次反応である.2種類の同位体交換グルコース(C1位およびC2位を重水素で置換)を用いてグルコースからのHMF合成に対する反応メカニズムを検討したところ,リン酸処理酸化チタンは一般的な骨格異性化を含まないグリコースの直接脱水反応でHMFを進行することが明らかになった.
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